ギランバレー症候群の回復過程におけるフローボリューム曲線の変化についての一考察

DOI
  • 服部 暁穗
    大阪府済生会中津病院リハビリテーション技術部

抄録

<p>【目的】神経筋疾患のフローボリューム曲線(F-V曲線)は呼吸筋の筋力低下により拘束性換気障害の特徴を示すことが知られている。病期進行に伴うF-V曲線のパターンの変化に関する報告は認めるが、疾患の回復過程におけるF-V曲線の経時的な変化を報告した文献はみられない。今回ギランバレー症候群(GBS)により呼吸機能が低下した症例でF-V曲線を経時的に評価しながら運動療法を実施し、良好な結果を得たので報告する。</p><p> </p><p>【症例】30歳代男性、先行感染はなく第3病日で急性増悪により人工呼吸器管理となった。18病日に気管切開、29病日より日中人工呼吸器離脱、35病日で完全離脱となった。運動機能面は初回評価時点でMMT4レベルと軽度の筋力低下を認めた以外の機能障害は認めなかった。ADLは歩行器使用下で自立であった。呼吸機能検査は初回評価を45病日に行い、以後53病日、63病日に実施した。評価は3回実施し、最も波形が整っているものを採用した。</p><p> </p><p>【結果】肺機能検査は肺活量3.96L(%予測値;97.5%)、一秒率77.53%(98.9%)と良好であったが、ピークフロー(PEF)3.28L/s(31.1%)と著明に低下していた。F-V曲線は台形でピークは低いが呼気終末でも流速は保たれていた。53病日でPEF5.25L/s(49.7%)、初回よりピークのタイミングが早く、下降脚はなだらかな曲線あった。63病日でPEF10.92L/s(103.4%)と年齢相応まで改善し、F-V曲線は呼気開始時に平坦になるものの、概ね正常な波形となった。最終評価時にはMMT5レベル、ADLは独歩自立し、退院後は元の職場へ復帰することができた。</p><p> </p><p>【考察】健常人におけるF-V曲線は呼気の始めは胸式呼出に依存し、次第に腹部の出力が増加し、胸式と腹式の共同呼出に移行する。初期評価時は立ち上がりが鈍いことから胸式呼出が制限されていたと考えられるが、最終評価時には改善を示した。GBSで呼吸筋が障害された症例ではF-V曲線の波形変化も有用な評価項目になり得ると考える。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】症例本人に口頭および書面にて十分説明し、書面にて発表に対する同意を得た。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-74_2-A-74_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713088256640
  • NII論文ID
    130007692594
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-74_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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