Nasal High Flow装着時における呼気と呼吸困難感の関係

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抄録

<p>【背景および目的】</p><p>Nasal High Flow(以下:NHF)は近年使用される頻度が増えているが、装着時の呼吸法についての報告は少ない。NHFの運動療法への影響について、我々は簡易的にNHFを作成し研究を行っている。その中で被検者からは『息が吐ききれずしんどい』との感想が多かった。そこで、NHF装着時の呼気時間と、呼吸困難感の関係性について検証した。</p><p> </p><p>【方法】</p><p>対象は健常成人23名(男性13人、女性10人、年齢32.2±8.4歳BMI21.0±2.1)とした。設定は呼吸数を30秒間で5回とし、吸気呼気比を1:1、1:2、1:3の3群で比較した。実施はNHF装着時(60L/min)と非装着時に行い、施行前後の呼吸困難感を修正Borgスケールを用いて評価した。</p><p> </p><p>【結果】</p><p>NHF非装着時では、1:2、1:3で有意に呼吸困難感が増加した(p<0.01)。1:1の施行前後、3群間の比較において、有意差がみられた。一方、NHF装着時では1:1で有意に呼吸困難感が増加し(p<0.01)、1:2、1:3では有意差はみられなかった。3群間の比較において、1:1と1:2との間に有意差(p<0.01)がみられ、1:3では有意差はみられなかった。</p><p> </p><p>【考察および結論】</p><p>NHF装着時は1:1で呼吸困難感が最も大きく、1:2で呼気を延長すると呼吸困難感が有意に減少した。これは、1:1に比べ1:2では、呼気時間の延長により、呼気抵抗が減少したためと考える。次に、1:3は1:2に比べ軽度の呼吸困難感が増加した。これは1:3では低肺気量位でNHFの抵抗を長く受けたことで呼吸困難感が増加したと考える。</p><p>以上により、健常人ではNHF装着時は1:2の呼吸方法が最も呼吸困難感が減少することがわかった。</p><p>一方、今回の研究から肺活量の小さい拘束性換気障害では、早期に呼気終末が出現するため、呼気時間を延長すると、呼吸困難感が増加する可能性がある。また、閉塞性換気障害においては、呼気の延長により、呼吸困難感が減少する可能性がある。以上の事から、換気障害の種類によって呼気時間を指導する必要性が示唆された。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>ヘルシンキ宣言に基づき、すべての被験者に研究の目的と方法、個人情報の取り扱いに関する配慮、研究への参加による不利益がないことを口頭および書面で説明し、自由意思による同意を得た。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-66_2-A-66_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713088258816
  • NII論文ID
    130007692498
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-66_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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