回復期リハビリーション病棟に入院したギラン・バレー症候群患者の歩行自立に及ぼす因子の検討
説明
<p>【はじめに・目的】</p><p>ギラン・バレー症候群(Guillain-Barre syndrome:GBS)は約6ヶ月〜1年で自然に寛解することが多く、比較的が予後が良好な疾患である。一方で、GBSの15〜20%程度には日常生活に支障をきたす機能障害が後遺すると報告されている。下肢の運動麻痺が後遺するGBS患者において歩行自立の可否を入院早期に予測することは、臨床において診療プログラムの計画や下肢装具の作製、歩行補助具の購入を検討する上で非常に重要である。そこで、本研究ではGBS患者の退院時歩行自立に影響する因子を入院時データから抽出し検討した。</p><p>【方法】</p><p>対象は2008年4月から2018年2月までに当院に入院したギラン・バレー症候群患者81名とした。年齢は20~93歳(平均51.5±18.6歳、±は標準偏差)、性別は男性41名、女性40名であった。なお、全身状態の悪化による転院があった者はすべて対象から除外した。退院時の歩行自立度はFunctional independence measure(以下;FIM)で評価し、1から5点を歩行非自立群、6から7点を歩行自立群として2 群に分類した。退院時の歩行自立度への関連を検討する因子として、患者属性の指標は、年齢(歳)、性別、発症から入院までの日数(日)、在院日数(日)とし、身体機能に関する指標は、入院時膝伸展筋力(Manual Muscle Test;MMT)、入院時FIM合計得点(点)とし、以上6変数はカルテから抽出した。統計学的処理は、前述した6変数の値の2群間の差についてχ2 検定、対応のないt検定またはMann - WhitneyのU検定を行った後、各指標から独立変数を抽出し、歩行自立群と歩行非自立群に分類した退院時歩行自立度を従属変数とする二項ロジスティック回帰分析を行った。</p><p>【結果】</p><p>年齢、在院日数、入院時膝伸展筋力、入院時FIM合計得点は2 群間で有意な差を認めた。年齢と在院日数は、歩行非自立群が歩行自立群に比べて有意に高値であった。入院時の膝伸展筋力、入院時FIM合計得点は、歩行自立群が歩行非自立群に比べて有意に高値であった。退院時歩行自立度を従属変数として二項ロジスティック回帰分析を行った結果、入院時膝伸展筋力(オッズ比:0.33,95%信頼区間:0.114-0.953)と発症から入院までの日数(オッズ比:1.054,95%信頼区間:1.004-1.106)が有意な変数として選択された。</p><p>【考察】</p><p>退院時歩行自立度には、年齢や在院日数、入院時FIM合計得点よりも入院時膝伸展筋力と発症から入院までの日数が重要な因子であることが示された。Tonya(2017)らは入院初期の下肢筋力が3ヶ月後の歩行自立度に関連していると報告しており、入院初期の下肢筋力は歩行自立を予測する上で重要な因子の1つであることが示唆された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は、研究の開始前に広島市立リハビリテーションセンター倫理委員会の承認を得た(受付番号:27-11)。また、全被験者に対し本研究の趣旨と目的を書面と口頭で説明し、文書による同意を得た上で研究を実施した。</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 46S1 (0), E-129_2-E-129_2, 2019
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390845713088290944
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- NII論文ID
- 130007693001
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可