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寛骨前傾角度の左右差と骨盤帯痛
Description
<p>【はじめに、目的】</p><p>妊娠前と比較してアライメント変化が少ないにも関わらず、妊娠初期から骨盤帯痛を訴える女性は多い。その際の姿勢評価は仰臥位低血圧症等のリスク管理上、立位が望ましい場合が多く、前額面での両側上前腸骨棘(以下ASIS)の高さの左右差を確認するが、臨床では左右差と痛みの有無が必ずしも一致しない。そこで、妊娠初期の寛骨前傾角度を計測し、その左右差と骨盤帯痛との関連を調べる事を本研究の目的とする。</p><p>【方法】</p><p>妊娠8週から11週の妊婦27名に骨盤帯痛の有無を質問紙にて確認後、onefinger-testを実施した。さらに両側の寛骨前傾角度を立位・裸足にて、全て同じ検査者が計測した。計測には曲尺(L字型の定規)にmagnetic base(角度計)を設置したものを使用し、前額面での両側上後腸骨棘(以下PSIS)を通る線と矢状面での一側寛骨のASISとPSISを通る線との交点を調べた。検定にはspssを使用し、骨盤帯痛の有無と寛骨前傾角度の左右差を、対応のないt検定にて統計処理を行った。</p><p>【結果】</p><p>疼痛無しが8名で左右差は平均3.63°(±3.25°)、疼痛ありが19名で左右差は平均3.63°(±2.61°)であり、有意差は認められなかった (P=0.996)。</p><p>【結論(考察も含む)】</p><p>今回の調査では、寛骨前傾角度の左右差と骨盤帯痛との関連は無かった。その理由は、左右差の平均値が疼痛の有無に関わらず、ほぼ同じ値を示した為と考える。矢状面での寛骨前傾角度は、小殿筋・ハムストリング等の短縮が原因で変化し、一側の寛骨が前傾すると、仙骨傾斜を介して対側寛骨は相対的に後傾位となる。つまり、一定の左右差は関節運動連鎖の結果として存在し、今回の値では疼痛と関連のない事が示された。さらに、矢状面での寛骨の前後傾と比較して、今回計測していない水平面での内外旋、前額面での恥骨部の上下方向への偏移の方が、骨盤帯痛の発生原因となる仙腸関節離開への作用が大きいと言われている。この点も、疼痛との関連がみられなかった原因の一つと考える。また、初期の妊婦を対象に調査を行ったが、この時期の子宮底の高さは恥骨結合上縁で胎児の重さは4∼20gとされ、妊娠による重心線の前方偏移や荷重量の増加はわずかであり、妊娠進行に伴う仙骨傾斜と寛骨アライメントへの影響も少なかったと考えられる。</p><p>この調査の結果より、矢状面での寛骨前傾角度の左右差を骨盤帯痛の原因とするには情報として不足している事が示唆された。よって、妊娠初期の骨盤帯痛に対する理学療法の際には、矢状面以外のアライメント評価を加えて確認する事が、骨盤輪としての機能を理解する上で必要であり、リスク管理を行いつつ整形領域で出会う腰痛患者と同様に治療戦略を立てればよいと考える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>ヘルシンキ宣言に則り、対象者には事前に研究の趣旨を十分に説明し協力の同意を得た。</p>
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 46S1 (0), H2-93_2-H2-93_2, 2019
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390845713088383232
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- NII Article ID
- 130007694041
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed