起立性低血圧を有する在宅要介護高齢者に関する検討

  • 小澤 貴史
    訪問看護リハビリテーションネットワーク
  • 安藤 誠
    介護老人保健施設足立老人ケアセンター
  • 新井 健司
    訪問看護リハビリテーションネットワーク
  • 池田 雅名
    訪問看護リハビリテーションネットワーク
  • 高橋 勇稀
    訪問看護リハビリテーションネットワーク
  • 川添 萌
    訪問看護リハビリテーションネットワーク
  • 丸田 裕未
    訪問看護リハビリテーションネットワーク
  • 大森 豊
    訪問看護リハビリテーションネットワーク

Description

<p>【はじめに・目的】</p><p> 起立性低血圧(以下,OH)は加齢に伴い増加し,高齢者の転倒を引き起こす因子として報告されている.また,血圧低下に対し代償的に自律神経過反射が生じると,心拍数の過度な上昇をきたし運動療法を行う上で制限となる.そのため,転倒予防や運動療法を行う際に,対象者がOHを有しているか把握することは重要である.しかし,在宅要介護高齢者のうちOHを有している対象者がどの程度存在するかについて検討した報告は少ない.そこで, OHを有する在宅要介護高齢者について調査を行った.</p><p>【方法】</p><p> 対象は当事業所の訪問看護および訪問リハビリテーションの利用者182名のうち,測定手順が理解できないと担当者が判断した者,介助なしで立位保持や歩行が困難な者,研究参加の承諾が得られない者は研究対象から除外し,研究参加に同意の得られた27名(男性13名,女性14名)とした.対象者の年齢は79.1±8.6歳であった.対象者の主たる疾患は骨関節疾患が5名,脳血管疾患が6名,呼吸循環器疾患が9名,腎代謝疾患が3名,その他が4名であった.調査期間は平成24年1月から平成25年8月であった.</p><p> OHの測定は,安静臥床からの起き上がり動作,起立動作の二種類を実施した.起き上がり動作は,安静臥床状態からベッド端坐位を取るまでを起き上がり動作とした.起立動作は,安静臥床状態から端坐位を経由して立位姿勢となるまでを起立動作とした. 血圧を,安静臥床後および動作実施直後,動作終了から3分経過後,5分経過後に測定した.また,他の情報として,通所サービスの利用状況を調査期間に作成された居宅サービス計画書から後方視的に調査し付記した.</p><p> 解析は,動作実施後3分経過までに収縮期血圧が20mmHg以上低下,あるいは拡張期血圧が10mmHg以上の低下を認めた場合にOHと定義し,割合を百分率で表示した.</p><p>【結果】</p><p> 起き上がり動作では5/27名(18.5%)が,起立動作では8/27名(29.6%)がOHを認めた.また,週1回以上の頻度の定期的な通所サービスを7/27名(25.9%)が利用し,そのうちOHは起き上がり動作で3/7名(42.9%)に,起立動作で2/7名(28.6%)に認めた.</p><p>【考察】</p><p> 自宅内の歩行が自立している要介護高齢者でも,潜在的にOHを有し,通所サービスを利用していることが明らかとなった.通常,通所サービスでは,利用者がOHを有さない前提でサービスが展開される.しかし,潜在的にOHを有する利用者が存在することを考慮する必要があると考える.今後の展望として,訪問でのリハビリテーションではOHを予防し安全に通所サービスを利用できるよう注意する必要があると思われた.</p><p>【結論】</p><p> 潜在的にOHを有する在宅要介護高齢者が存在し,通所サービスを利用していることが明らかになった.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p> 研究内容を当事業所の訪問看護および訪問リハビリテーション利用者に説明し,書面にて同意が得られた場合のみ対象者として測定を行った.なお,本研究は2012年1月に桜美林大学の研究倫理審査委員会の承認を受けて行った(承認番号11037).</p>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390845713088700032
  • NII Article ID
    130007693444
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.g-85_1
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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