地域包括ケアシステムにおける住民主体型介護予防の自助と互助の客観的効果について

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Abstract

<p>【目的】本研究は,地域包括ケアシステムにおける住民主体による介護予防の自助と互助の客観的効果の検証を目的とし,自治体との連携事業で育成した地域住民組織「介護予防リーダー」による住民主体の介護予防教室の実施が教室参加者の健康状態およびリーダー自身の健康状態に及ぼす相互作用を明らかにするものである。</p><p>【方法】一定のカリキュラムを実施し,育成された介護予防リーダー(46名,平均年齢68.6歳)が運動指導を実施する一般介護予防教室2箇所を対象に教室参加者(41名,平均年齢76.5歳)の身体機能を教室前後で比較し,また介護予防リーダー自身の身体機能の変化を活動開始時から継時的に比較検討した。教室参加者の身体機能は握力,Timed Up and Go Test(TUG-T),30秒間立ち上がりテスト(CS-30)で評価を行い,介護予防リーダーに対する評価にはTUG-T,CS-30に加え,椅座位体前屈テストを行い,体組成計にて骨格筋量,体脂肪率を計測した。また1年間の介護予防リーダー活動による自覚的健康度の変化や社会貢献度などを独自に作成したアンケートにて聴取し,健康に関する考え方をHealth Locus of Control尺度(HLC尺度)にて測定した。尚,本研究は科学研究費助成事業(基盤C:住民主体の介護予防における「自助」と「互助」の客観的効果に関する研究,研究代表:高取)の助成を受けて実施した。【結果】住民主体の介護予防教室の効果に関しては,2ヶ月間の教室実施の前後比較において,参加者は全ての身体機能評価項目に有意な改善を認めた(各p<0.01)。また介護予防リーダーの身体機能変化においては,一年間の活動を通じて,CS-30,椅座位体前屈距離に有意な改善が認められた(CS-30:活動開始時21.4±5.6,活動一年後23.8±4.8,p<0.01,椅座位体前屈:活動開始時10.5±10.1,活動一年後14.3±11.5)。骨格筋量および体脂肪率には変化は認められなかった。介護予防リーダーに対するアンケート調査では自身の健康度の向上や活動が参加者の健康づくりに役立っていると感じる者が多かった。またHLC尺度の結果,自身の健康状態をコントロール出来るという「内的コントロール所在」の割合が大きかった(91%)。</p><p>【考察】介護予防リーダーによる教室参加者の身体機能改善は,住民への直接的運動指導が専門職ではなく住民レベルであっても有効であることを示している。また介護予防リーダーは内的コントロール所在の者が多いため健康意識が高く,身体機能の改善は運動指導のための練習や研修の受講,またはサロンなどにおける出前教室の実施など日々の活動が自身の健康度を改善させたものと考えられる。</p><p>【結論】介護予防リーダーによる住民主体の介護予防の推進は教室参加者のみならず担い手の健康度にも良好な影響を与える。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390845713088704000
  • NII Article ID
    130007693499
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.g-43
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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