距骨下関節肢位における歩行踵接地時の上方加速度について
書誌事項
- タイトル別名
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- -上方加速度が歩行立脚初期に与える影響-
説明
<p>【はじめに、目的】本研究の目的は、距骨下関節肢位における歩行踵接地時の上方加速度を明らかにし、歩行に与える影響を検証することである。</p><p> </p><p>【方法】対象は健常成人男性10名(年齢25.5±3.4歳)とした。運動課題は10mの歩行路を設け、直線自由歩行とした。測定機器は市販のスマートフォン端末を使用して加速度が測定できる簡易動作解説システム「シンプル加速度ロガー」を使用した。端末はAndroid OS搭載スマートフォン端末SONY社製XPERIA ZL2を使用した。端末の固定には専用ベルトで第3腰椎棘突起付近とし、サンプリング周波数200Hzで測定した。測定したデータを表計算ソフトで解析できるようにCSVファイルに変換した。得られたデータをデジタルフィルタで平滑化処理を行った。先行研究より歩行時の垂直加速度は一定のパターンがみられることから、踵接地時の上方加速度のピーク値を抽出し、5歩行周期を加算平均した。距骨下関節回外・回内誘導には、伸縮性テープDE-50(ドレイパー社製)を用い、入谷の評価方法に準じて同一検者が両足に同一誘導を行った。距骨下関節誘導なし(誘導なし群)、回外誘導(回外誘導群)、回外誘導(回内誘導群)の3条件を測定し、解析データとして用いた。3 条件の測定順序は循環法を用いた。統計的手法は一元配置分散分析と多重比較検定にて3条件を比較した。また、有意水準を5%とした。</p><p> </p><p>【結果】歩行踵接地時の上方加速度は、誘導なし群で3.16±0.73m/s2、回外誘導群で2.84±0.81 m/s2、回内誘導群で3.65±0.84 m/s2となった。回外誘導群に比し、回内誘導群は上方加速度が有意に高値を示した。誘導なし群と回外誘導群、誘導なし群と回内誘導群では有意差を認めなかった。</p><p> </p><p>【結論(考察も含む)】歩行踵接地の瞬間には身体の下方移動にブレーキがかかるため、上方加速度が生じる。上方加速度が大きくなることは、踵接地時の衝撃力が大きくなることを意味している。結果より、回外誘導群に比し回内誘導群では踵接地時の上方加速度が大きくなったことから、踵接地時の衝撃力が大きくなることが明らかになった。入谷は距骨下関節回外誘導で踵接地から荷重が早期に前方移動し、回内誘導では前方移動が遅延すると述べている。また小野崎らは、踵接地の衝撃力が大きくなると、後方加速度も大きくなると述べている。距骨下関節回内誘導での前方移動の遅延の一因として、踵接地時の上方加速度の大きさが関係していると思われる。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】対象者には研究の趣旨と内容、方法を十分に説明し、得られたデータは研究以外の目的に使用しないこと、および個人情報の漏洩に注意することについて説明し、同意を得た上で研究を行った。</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-247_1-H2-247_1, 2019
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390845713088741632
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- NII論文ID
- 130007693906
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可