骨盤底筋トレーニングハンズオンセミナーにおける習熟度と現状調査から見た骨盤底筋触診技術の重要性

  • 大内 みふか
    北海道医療大学リハビリテーション科学部理学療法学科 北海道大学大学院医学研究科腎泌尿器外科学分野
  • 橘田 岳也
    北海道大学大学院医学研究科腎泌尿器外科学分野
  • 高橋 由依
    北海道大学大学院医学研究科腎泌尿器外科学分野
  • 青木 芳隆
    福井大学医学部器官制御医学講座泌尿器科学
  • 篠原 信雄
    北海道大学大学院医学研究科腎泌尿器外科学分野

Description

<p>【目的】</p><p>医療従事者によって指導される骨盤底筋トレーニングは,面談を行わないパンフレット配布よりも尿失禁症状の軽減,骨盤臓器脱症状の改善に有効である.患者に対して個別指導する際には,図や模型を用いた解剖学的説明,蓄尿及び排尿時の骨盤底筋の役割,視診や触診による骨盤底筋の収縮確認を実施する.しかしながら,本邦では骨盤底筋トレーニングの指導方法を学べる機会少ないのが現状である.今回,骨盤底筋トレーニングハンズオンセミナー(以下,本研修会)を開催する機会を得たことから,参加者の現状と習熟度を評価することによって,骨盤底筋トレーニング指導の現状と課題点を検討することを目的とした.</p><p>【方法】</p><p>対象は本研修会参加者40名の医療従事者(年齢21-70歳)であった.本研修会は,第31回日本老年泌尿器科学会(平成30年5月11-12日,福井)にて開催された.参加者は女性を対象に,学会ホームページより公募した.本研修会では骨盤底筋を含む骨盤底支持組織の解剖学,体表からの骨盤底筋触診,小グループでのディスカッションを,約3時間実施した.参加者は,研修会開始前と開始後にアンケートの記載をした.アンケートの項目は,年齢,職種,患者への骨盤底筋トレーニング指導方法,指導の学習方法,骨盤底筋トレーニング指導に対する自信の程度(0 - 10)とした.</p><p>【結果】</p><p>アンケート回収率は36/40名,90.0%であった.参加者の職種は,医師(4名),看護師(24名),理学療法士(7名),作業療法士(1名)であった.アンケート結果は,骨盤底筋トレーニングを患者に勧めたことがある者は33/36名,91.7%,そのうちの多くはパンフレット,口頭説明,個別指導を行っていた.研修会への満足度は「とてもよかった」あるいは「よかった」が35名,97.2%,無回答1名,2.8%であった.下記の2項目について本研修会の前後比較を行った.「自分自身が骨盤底筋を正しく収縮できる自信はあるか」の項目では,事前の結果は中央値7点(範囲:1 - 10点),事後の結果は中央値8点(範囲:3 - 10点)であった.「骨盤底筋の正しい収縮を患者に指導する自信はあるか」の項目では,事前の結果は中央値5点(範囲:0 - 10点),事後の結果は中央値7点(範囲:3 - 10点)であった.</p><p>【結論】</p><p>本研修会の参加者の多くは看護師であり,次いで理学療法士,医師,作業療法士であった.参加者の約9割は,パンフレットや口頭説明を用いて患者への指導を既に行っていたが,触診などのその他の方法用いると回答した者は少数であり、骨盤底筋の正しい収縮を指導できる自信は低い結果であった.以上より,骨盤底筋トレーニングは指導するが,骨盤底筋の正しい収縮に対する認識が低かった可能性が窺える.本研修会では骨盤底筋の体表触診と指導方法を強調して伝えた結果,収縮方法を他者へ説明することへの自信が高まった.今後は骨盤底筋触診の重要性の伝達や,技術向上の支援が必要であると考える.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>アンケート調査の同意は参加者に対し調査について口頭にて説明し,アンケート用紙の記載をもって本調査への参加承諾とする旨を伝えた上で,参加者にアンケート記載を依頼した.</p>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390845713088755968
  • NII Article ID
    130007694043
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.h2-93_1
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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