一次体性感覚野への経頭蓋電気刺激が触覚方位弁別能力に及ぼす影響

DOI
  • 齊藤 慧
    新潟医療福祉大学 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所
  • 大鶴 直史
    新潟医療福祉大学 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所
  • 犬飼 康人
    新潟医療福祉大学 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所
  • 小島 翔
    新潟医療福祉大学 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所
  • 宮口 翔太
    新潟医療福祉大学 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所
  • 横田 裕丈
    新潟医療福祉大学 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所
  • 佐々木 亮樹
    新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所 新潟医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科
  • 大西 秀明
    新潟医療福祉大学 理学療法学科 新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所

抄録

<p>【目的】</p><p>ヒトの体性感覚機能を変化させる手法として経頭蓋直流電気刺激(tDCS)がある.先行研究では一次体性感覚野に対して陽極tDCS(a-tDCS)を与えることで触覚方位弁別能力が向上することが報告されている(Ragert et al., 2008).近年では,経頭蓋ランダムノイズ刺激(tRNS)や陽極経頭蓋パルス電気刺激(a-tPCS)などの新しい刺激方法が提案されており,一次運動野に与えることでa-tDCSと同様に皮質脊髄路興奮性を増大することが報告されている(Terney et al., 2008,他).しかし,一次体性感覚野に対するtRNSやa-tPCSの刺激効果については十分に検証されていない.本研究では一次体性感覚野に対するa-tDCS,tRNS,a-tPCSが触覚方位弁別能力にもたらす影響を検証した.</p><p>【方法】</p><p>対象は健常成人男性17名(平均年齢:22.0±1.1歳)とした.経頭蓋電気刺激は①a-tDCS,②tRNS(刺激周波数:0.1-640 Hz),③a-tPCS,④sham刺激の4条件とした.刺激強度は0.7 mA,刺激時間は10分とした.電極サイズは5cm×5cmとし,刺激電極は国際10-20法におけるC3の3cm後方と右眼窩上部に貼付した.体性感覚機能の評価として,触覚方位弁別課題(GOT)を経頭蓋電気刺激前後に実施した.GOTでは異なる幅(3.0,2.0,1.5,1.2,1.0,0.75,0.5,0.35 mm)の縞が刻まれたドーム状の機器を対象者の右示指に押し当て,その縞の方向が縦か横かを回答させた.データ解析として,各刺激幅において算出した正答率をプロットし,一般化線形モデルに基づきロジスティック曲線により回帰した.回帰によって得られる心理物理曲線から75%の確率で正答できる刺激幅(GOT閾値)を算出した.統計解析として,刺激前後のGOT閾値を比較するためにWilcoxonの符号付順位検定を用いた.有意水準は5%とした.</p><p>【結果】</p><p>GOT閾値において,a-tDCSでは刺激前が0.93±0.14mm,刺激後が0.95±0.27mm,sham刺激では刺激前が0.96±0.20mm,刺激後が0.97±0.21mmであり,刺激前後で有意な変化は認められなかった.一方,tRNSでは刺激前が1.08±0.26mm,刺激後が0.96±0.30mm,a-tPCSでは刺激前が1.10±0.29mm,刺激後が0.91±0.24mmであり,いずれも刺激後に有意に減少した.</p><p>【考察】</p><p>一次体性感覚野へのtRNSおよびa-tPCSにより,触覚方位弁別能力が向上した.この触覚方位弁別能力の向上には一次体性感覚野における神経活動の変化が関与している可能性がある.</p><p>【結論】</p><p>一次体性感覚野に対するtRNSおよびtPCSは触覚方位弁別能力を向上させる.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>実験の内容について説明後,書面にて同意の得られた対象者に実験を行った.</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), I-122_2-I-122_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713088770688
  • NII論文ID
    130007694205
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.i-122_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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