介護予防事業を継続的に展開するための有効なプログラムの検討

DOI
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    鹿児島市立病院 リハビリテーション技術科

Abstract

<p>【はじめに】</p><p>介護予防推進のため、各自治体では、独自のプログラムを開発して取り組み、一定の効果を上げているように思える。しかしながら、「自助」「互助」を目的とした地域の集いの場への参加率や、継続性については課題も多い。より有効な事業展開のためには、地域高齢者の社会参加の実情について検討する必要がある。</p><p>【対象】</p><p>対象は65歳以上の高齢者を中心として活動している、自治体主導の集団体操教室、福祉館サロン、地域の老人クラブのいずれかに参加している健常成人とした。各団体に調査への協力依頼を行い、同意を得られた8団体(集団体操教室3団体、福祉館サロン3団体、老人クラブ2団体)に対して、訪問による調査を行った。訪問当日活動に参加しており、後日質問紙の回収が行えた100名(女性71名、平均年齢76.3 ± 6.3歳)を今回の解析の対象とした。</p><p>【方法】</p><p>調査対象の各団体へ訪問し、当日の参加者全員への自記式質問紙の配布と代表者への半構造化面接を行った。</p><p>集団体操教室、福祉館サロン、老人クラブの3群について、各群のアンケートの回答結果について比較を行った。有意水準は5%とした。</p><p>【結果】</p><p>活動を継続している理由としては、集団体操教室群で、「爽快感がある」「自分の将来のため」との回答がそれぞれ群全体の40%、35%であったのに対して、福祉館サロン群、老人クラブ群では「話が楽しい」との回答が群全体のそれぞれ63%、77%との結果となった。</p><p>活動が有料であった場合に支払える金額については、老人クラブ群で金額が高い傾向にあり、多重比較にて集団体操教室群と老人クラブ群に有意差を認めた(p < 0.01)。</p><p>また、活動を継続する際の困難さとして、代表者への負担の増大、役割を持つことに対する参加者の拒否感や、場所の確保などの困難さが挙げられた。</p><p>【考察】</p><p>集団体操教室に参加している高齢者は自治体等に誘導されて、日常的には選択しない行動を選択している可能性があり、その継続理由は自分の健康に関することが多くを占めている一方、活動自体への価値は低い結果となった。この結果に対して、福祉サロンや老人クラブは集団体操よりも高い価値を感じており、活動内容がこの違いを生み出している可能性は高い。</p><p>行政や専門職は一方向的に指導的な介入を行うだけでなく、高齢者が必要としているサービスを適切なタイミング、適切な形で提供し、集団同期を阻害しないながらも、介護予防のための身体活動促進の方向に高齢者を誘導する等、介入方法の工夫が必要であると考えられる。また、高齢者が集団活動へ参加することを困難としている要因として挙げられる、集団内での役割や金銭の管理、場所の確保の困難さ等については、外部の組織等の積極的な支援も必要であろう。</p><p>【まとめ】</p><p>介護予防事業として、専門職の適切な関与の下、高齢者が主体となって双方向性の交流があり、集団同期を伴う集団活動を行うことが有効である可能性が示された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は鹿児島大学病院臨床研究倫理委員会の承認を得た(承認番号:170252)。また、対象者には研究の趣旨について十分に説明を行い、書面への署名にて同意を得た。</p>

Journal

Details

  • CRID
    1390846609780251648
  • NII Article ID
    130007760835
  • DOI
    10.32298/kyushupt.2019.0_85
  • ISSN
    24343889
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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