新宿区保健センターでの発達障害に関連する「ちょっと気になる」についての保護者向けパンフレットの有効性の評価

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of the effectiveness of a pamphlet addressing parental concerns regarding developmental difficulties at the Shinjuku City Health Center
  • 公衆衛生活動報告 新宿区保健センターでの発達障害に関連する「ちょっと気になる」についての保護者向けパンフレットの有効性の評価
  • コウシュウ エイセイ カツドウ ホウコク シンジュクク ホケン センター デ ノ ハッタツ ショウガイ ニ カンレン スル 「 チョット キ ニ ナル 」 ニ ツイテ ノ ホゴ シャムケケ パンフレット ノ ユウコウセイ ノ ヒョウカ

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抄録

<p>目的 育児の中で発達障害に関して子どもに感じる気になることや育てにくさ(以下,「ちょっと気になる」)を抱える保護者が,相談先を知り,相談できるようになることは,保護者の育てにくさの解消や子どもの理解にとって重要である。新宿区では,「ちょっと気になる」について保護者向けパンフレットを作成し,その有効性を,保護者への質問紙に基づき評価したため報告する。</p><p>方法 2016年4月~6月の1歳6か月児,3歳児健診の対象者の保護者1,164人に,健診案内送付時にパンフレットと無記名自記式質問紙を同封し,健診当日に回収した。質問項目は,KAPモデルを参考に,保健所・保健センター職員により構成する作業部会で検討した。保健センターが「ちょっと気になる」の相談先であることの理解状況は属性により分析し,「ちょっと気になる」への態度については,パンフレットを読む前後の変化があるか分析した。また,周囲に「ちょっと気になる」について困っている保護者がいた場合の態度についても集計した。自由記載の回答は内容に基づき分類した。</p><p>活動結果 1歳6か月児,3歳児健診対象者の保護者,各269人(43.5%),358人(65.7%)の回答を得た。保健センターが「ちょっと気になる」の相談先であることを「パンフレットを読んでわかった」が398人(67.5%)であった。出生順位や健診区分による有意差は認められなかった。パンフレットを読む前では子どもの「ちょっと気になる」について,「保健センターに相談」が14人(6.8%)だったが,パンフレットを読んだ後は61人(29.5%)となり,有意に増加していた。現時点で「ちょっと気になる」がない保護者の,周囲に「ちょっと気になる」について困っている保護者がいた場合の態度は,「気持ちを理解したい」243人(62.6%)と回答したものが多かった。自由記載では,今後の周知活動への要望や,パンフレットの効果に関する記述が見られた。</p><p>結論 パンフレットは,保護者がわが子に「ちょっと気になる」がある場合,相談先を理解してもらい,相談することを前向きに捉えてもらうために有効ではないかと考えられる。また,周囲の保護者にとっても「ちょっと気になる」子とその保護者への関心を高めた可能性がある。パンフレットをすべての保護者に配布することは,地域で子育てをしていく際の安心感を与えるものであることが示唆された。</p>

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