都道府県食育推進計画の特徴:具体的目標の分析から

  • 黒谷 佳代
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所栄養疫学・食育研究部
  • 金田 恭江
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所栄養疫学・食育研究部
  • 大渕 智美
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所栄養疫学・食育研究部
  • 瀧本 秀美
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所栄養疫学・食育研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Promotion of Shokuiku in 47 prefectures of Japan: An analysis of specific goals of basic Shokuiku programs
  • トドウフケンショクイク スイシン ケイカク ノ トクチョウ : グタイテキ モクヒョウ ノ ブンセキ カラ

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抄録

<p>目的 食育基本法に基づき,全都道府県が食育推進計画を作成し,食育を推進している。一方,市町村の食育推進計画の作成割合は100%に到達していない。その背景には適切な情報提供の不足が挙げられる。本研究では,都道府県計画の情報から,市町村計画の策定に寄与する情報を抽出することを目的とした。</p><p>方法 2018年12月現在,各都道府県で公開されている現行および前回の食育推進計画の情報を収集した。現行計画については,計画名,計画の位置づけ,期間,基本理念,基本方針,基本施策,具体的目標に関するデータを抽出した。また,前回計画の具体的目標を「目標達成」,「改善したが目標未達成」,「変化なし」,「悪化」,「評価不可」として評価した。</p><p>結果 現行計画を食育基本法に基づく独立した計画として作成していた都道府県は74.5%,他施策を兼ねたものが25.5%であった。計画は5年間のものが72.3%と最も多く,基本理念に「健康」や「健全な食生活」を含む計画は72.3%で,基本施策実施担当部局を明記した計画は25.5%であった。現行計画の具体的目標(n=1,180)は,国の第3次食育推進基本計画の生活習慣病予防・改善の食生活や子供の朝食欠食に関連した項目が多かったものの,国と同じ目標値を設定しているものはわずかであった。また,具体的目標の策定時値の出典が明記されていたのは80.0%であったものの,目標値の設定根拠が明記されていたのは24.5%であった。前回計画の具体的目標(n=1,197)のうち,目標達成項目は24.7%,悪化項目は22.1%あった。各都道府県の目標項目のうち,50%以上の項目が達成されていた都道府県は6つで,評価と考察がきちんと実施され,次期計画策定に生かされていた。目標達成項目は,朝食,共食,食事バランスなどの食生活,生活習慣病の予防・改善,地産地消の推進に関するものが多く,悪化項目も同様であった。数値目標値の場合,策定時値を基準にした目標値の比は,目標達成項目に比べ,悪化項目の方が1に近かった。</p><p>結論 食育計画の評価を踏まえた次期計画策定が,達成可能な目標設定につながることが示唆された。また,目標項目および目標値の設定根拠,出典,担当部局などの具体的な情報を都道府県食育推進計画に記載することで,市町村計画策定に役立ち,市町村の食育推進関係者の理解の向上につながるだろう。</p>

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