薬の物性変化を利用した新しい光治療
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- 小川 美香子
- 北海道大学 大学院 薬学研究院 JSTさきがけ
抄録
<p>光免疫療法Photo-immuno therapy (PIT)は、フタロシアニン誘導体IR700を結合させた抗体を用いた新しい癌治療法である。抗体-IR700結合体を投与後、近赤外光を照射することでがん細胞を特異的に殺傷することができる。がん免疫も活性化されるため、光照射されなかった転移巣の治療も見込まれる。現在までに頭頸部癌患者を対象にした第II相臨床試験が終了し、本邦でも臨床試験が行われている。このように、PITは極めて大きな期待がされているがん治療法であるものの、PITによって引き起こされる細胞障害のメカニズムが不明であるため、より優れた薬剤を開発することが困難であった。そこで、細胞傷害メカニズムを解明し、光反応性薬剤に備えるべき性質を明らかにすることを目標に検討を行った。この結果、PITでは従来の光治療と異なり活性酸素種の発生を必要としないこと、IR700の化学構造の変化に起因する物性変化が重要であることを見出した。吸収した光のエネルギーをより効率的に細胞障害へ向けた化学反応に使うことができれば、より効果的な薬剤開発につながると考える。</p>
収録刊行物
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- 生体医工学
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生体医工学 Annual57 (Abstract), S112_1-S112_1, 2019
公益社団法人 日本生体医工学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390846609788800000
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- NII論文ID
- 130007776426
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- ISSN
- 18814379
- 1347443X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可