下腿開放粉砕骨折後,癒合まで長期経過を要したが歩行獲得に至った症例

  • 宗像 歩
    一般社団法人巨樹の会新上三川病院

説明

<p>【はじめに】下腿開放骨折は,高エネルギー外傷により比較的頻繁に起こり循環も悪く皮膚軟部組織が壊死に陥る事も多い.Gustilo typeⅢ-B開放骨折では,高い感染率,遷延性癒合,偽関節を生じ難渋するといわれる.本症例は,下腿開放粉砕骨折を呈し骨癒合に長期経過要したが歩行獲得に至った症例である.</p><p>【症例紹介】65歳男性.診断名:右下腿開放粉砕骨折(AO 分類42-A3 Gustilo typeⅢ-B).受傷同日創外固定・洗浄デブリドマン施行.翌日より理学療法介入.26病日:創外固定抜去,観血的整復手術(以下ORIF)施行.30病日:NWB松葉杖歩行で自宅退院.その後外来リハビリへ移行.80病日:PTB着用で歩行許可.105病日:1/3PWB.120病日:1/2PWB.183病日:2/3PWB .267病日:松葉杖使用での全荷重許可.尚発表に関して説明と同意を得た.</p><p>【経過と結果】創外固定後,下腿足部炎症著明.疼痛VAS100/100.26病日足関節ROM:背屈-25°底屈40°日本足の外科学会足関節・後足部判定基準(以下JSSF)0/100 ORIF後,近位脛腓骨部と遠位脛腓骨間において回旋変形が生じ,また30病日より足趾claw toe変形がみられた.理学療法として創外固定中は,疼痛・浮腫管理・廃用予防を中心に実施.ORIF後,超音波を使用し軟部組織に対し介入しながら中枢部の筋力維持向上を図った.荷重時期ではマルアライメントを考慮し積極的に松葉杖での荷重へは移行せず慎重に平行棒内での訓練を進めた.310病日にて独歩獲得し,階段昇降も1足1段にて可能となった.足関節ROM:背屈5°底屈45°疼痛なしJSSF92/100 満足度82/100 claw toeの改善はなかった.</p><p>【考察】開放分類として機能的予後が悪く,Gustilo type Ⅲ-B以上の開放骨折では,軟部組織の損傷により骨折部の血行が遮断されやすいといわれる.その為骨癒合に時間を要したが、骨折部の損傷程度のみならず軟部組織の状況を考慮しながら,下肢機能障害の改善や予防に努めたことにより獲得出来たと考える.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390846609790525952
  • NII論文ID
    130007779580
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_p-039
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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