末梢神経切断後の脱神経筋に対する機械的負荷が筋萎縮関連因子の発現に与える影響(パイロットスタディ)

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抄録

<p>【目的】末梢神経損傷後は、その支配筋の神経支配が途絶えることで、筋萎縮を認める。何らかの治療的介入がなければ、筋萎縮はより進行し、再神経支配が成されても、機能障害が残存する場合が多い。理学療法介入としては、ストレッチングや電気刺激などが行われているが、広く行われている歩行練習のような荷重による機械的負荷が筋萎縮に及ぼす影響は未だ明らかではない。末梢神経切断後は筋萎縮関連因子が発現することが報告されており(Bodine,2001)、機械的負荷がAtrogin-1、Muscle RING Finger Protein-1(MuRF-1)の発現に与える影響を明らかにすることとした。</p><p>【方法】対象はICR系雄性マウス(10週齢:6匹)とした。 末梢神経切断モデルは坐骨神経を10mm切断し、神経切断後4週時点において再神経支配のないモデルを採用した。対象を神経切断後に機械的負荷のない群(N群)、神経切断3日後からトレッドミルによる機械的負荷(時間:1時間/日、頻度:5日/週、速度:10m/min)を与える群(Nex群)、神経損傷のない群(Sham群)の3群とした。 組織採取時期は神経切断後2週、4週時点とし、各群のヒラメ筋(SOL)と長趾伸筋(EDL)を採取した。その後に蛍光免疫染色を行い、Atrogin-1、MuRF-1の発現の局在を観察した。</p><p>【倫理的配慮】所属大学動物実験倫理委員会の承認を得た(承認番号29-8)。</p><p>【結果】2週、4週時点のAtrogin-1の陽性所見はSOL、EDL共にN群、Nex群においてSham群よりも顕著であったが、N群とNex群の違いは明らかではなかった。2週、4週時点のMuRF-1の陽性所見は、SOLにおいてはN群がNex群よりも陽性所見が顕著であった。EDLにおけるMuRF-1の陽性所見は、2週時点おいてN群がNex群よりも顕著であった。</p><p>【考察】末梢神経切断後のように随意的筋収縮が困難な状態となっても、機械的負荷によりMuRF-1の発現を抑制し、筋萎縮を抑制できる可能性が示唆された。今後はmRNA遺伝子発現解析やタンパク質の発現量などの量的評価を行う必要がある。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390846609790652160
  • NII論文ID
    130007779563
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_o-036
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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