重度片麻痺で予後予測が歩行困難だった患者に対し長下肢装具を用いた立位・歩行練習を6か月間実施した効果
抄録
<p>【はじめに】重度片麻痺でPusher症候群と遷延性意識障害を呈する患者に長下肢装具(以下KAFO)を装着した立位・歩行練習を継続したことで,基本動作・移乗動作機能の向上を認めた.</p><p>【倫理的配慮】今回の報告に際し対象者へ説明し同意を 得た.</p><p>【症例紹介】60歳代前半,肥満体型の女性.今回,右MCA領域の広範な脳梗塞と脳ヘルニアを発症し,術後2 ヶ月で当院に入院した.JCS10,Brs.は左下肢Ⅰ,筋緊張は弛緩,ROMは左上下肢に軽度制限あり.Pusher症候群と左半側空間無視があり,座位は保持不可,移乗動作は2人介助であった.</p><p>【経過】両下肢にKAFOを装着した立位練習から開始した.1 ヶ月目にJCS1となりKAFOは左のみ装着し,平行棒内前腕支持・全介助レベルで歩行練習を開始すると左下肢屈曲パターンが出現した.2 ヶ月目で遷延性意識障害が改善し意識清明となったことでPusher症候群が初期と比べて著明に出現したため,壁へ右体側を寄り掛からせた立ち上がり・立位練習を追加した.その後,Pusher症候群の改善に伴い支持物をサイドケインへ変更した.3 ヶ月目に右下肢への荷重が増え,骨盤挙上による左下肢振り出しが中等度介助レベルで可能となった.5 ヶ月目に中等度介助で30mの歩行が可能となった.退院までの期間,左にKAFOを装着し歩行練習を続けた.</p><p>【結果】Brs.は左下肢Ⅲ,筋緊張は左上下肢に痙性はあるが屈曲パターンは軽減し,MMTが体幹・右上下肢3レベルとなった.基本動作・移乗動作は手すりを使用し左短下肢装具装着で見守りレベル,普通型車椅子一部介助レベルで退院し,在宅リハで歩行練習を継続している.</p><p>【考察】遷延性意識障害のある重度片麻痺患者に介入初期からKAFOを装着し入院期間中に立位・歩行練習を続けたことで,意識障害・Pusher症候群の改善へ繋がったと考える.</p><p>【まとめ】予後予測で歩行困難とされた重度片麻痺患者であっても,適切な装具を選択し練習することで,Pusher症候群・意識障害・異常筋緊張にアプローチでき,心身機能が改善する経験をした.</p>
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 38 (0), F-035-, 2020
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390846609790778368
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- NII論文ID
- 130007779540
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可