左視床梗塞によりAtaxic Hemiparesisを呈した一症例のバランス能力の長期経過

Description

<p>【はじめに】視床の損傷による小脳性運動失調は視床性運動失調と言われる。また、運動失調と同側に運動麻痺を伴うとAtaxic Hemiparesisとされ、その症例の予後やリハビリテーションにまで言及した報告は少ない。今回はAtaxic Hemiparesisを呈した症例のバランス能力に着目した長期経過を報告する。</p><p>【説明と同意】本発表はヘルシンキ宣言に基づき、本症例に口頭で説明し書面にて同意を得た。</p><p>【症例紹介】80歳代、女性、病前生活は自立。MRIにて視床の外側腹側核に限局した梗塞巣を認め、入院となった。初期評価時、意識清明、会話にてやりとり可能で、運動麻痺は認めず、表在・深部感覚共に軽度鈍麻していた。右上下肢、体幹の運動失調と体幹機能の低下を認めた。協調性練習を中心に介入を開始した。</p><p>【経過・考察】各評価結果を発症2週間後、1か月後(退院時)、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後の順で示す。 Berg Balance Scaleは43、46、40、36、46、47点、MiniBalance Evaluation Systems Test(Mini-BESTest)は8、9、16、17、21、17点であった。Timed Up and Go test (TUG)は17.0、14.8、16.3、15.7、16.2、17.9秒、最大歩行速度は0.43、0.78、0.64、0.60、0.66、0.51m/秒であった。 2週間後、右上下肢、体幹の運動失調の改善と体幹機能の向上を認めた。動作練習時に右下肢の運動調節の不良が出現したため、治療方針は右下肢の機能向上を目的とした内容に変更した。1か月後に自宅退院となり、現在は週1回の外来リハビリを開始、継続していた。退院後の定期評価では、運動失調の程度に変化はなく、5か月後まででMini-BESTestは点数の向上を認めたが、TUG と最大歩行速度では大きな変化は認めなかった。退院後の生活様式や活動量は病前と大きな変化はないが、退院後半年間で自宅内にて複数回転倒していた。</p><p>【まとめ】Ataxic Hemiparesisを呈する症例は、長期的な病識の獲得や生活指導の継続したフォローが必要であると考えられた。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390846609790898304
  • NII Article ID
    130007779418
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_f-012
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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