健診尿中に2,8-DHA結晶がみられたAPRT欠損症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of APRT Deficiency Discovered by Presence of 2,8-DHA Crystals in Urine
  • 症例報告 健診尿中に2,8-DHA結晶がみられたAPRT欠損症の1例
  • ショウレイ ホウコク ケンシン ニョウチュウ ニ 2,8-DHA ケッショウ ガ ミラレタ APRT ケッソンショウ ノ 1レイ

この論文をさがす

抄録

<p> 2,8-ジヒドロキシアデニン(DHA)結晶は,常染色体劣性遺伝のプリン代謝異常であるアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)欠損症の尿中に析出する結晶である.2,8-DHA結晶は難溶性で,尿路結石や尿細管沈着による腎障害の原因となる.APRT欠損症は食事療法や薬物による治療が可能であり,早期発見・早期診断が重要である.今回,我々は健診の尿沈渣にて2,8-DHA結晶がみられAPRT欠損症と診断した1例を経験した.症例は54歳の男性で,2017年12月に当センターの人間ドックを受診した.尿沈渣中に内部が車軸状を呈する黄褐色の円形結晶を多数認めた.形態および性状から2,8-DHA結晶と判断した.腹部超音波検査にて左腎臓に11mmの腎結石を認めた.本症例には20代からの頻回な尿路結石症の既往があった.家族歴で姉にも若年からの頻回な尿路結石と尿路感染症の既往があった.本症例は尿中プリンヌクレオチド代謝産物異常により診断するメタボローム解析によって,2,8-DHAの著増を認めAPRT欠損症と診断した.APRT活性測定ではT細胞診断にてAPRT活性を認めず,遺伝子解析でGenotypeはAPRT*Jアレルのホモ接合体であった.以上よりAPRT欠損症と確定診断した.注意深い観察による尿沈渣中の2,8-DHA結晶の指摘は,APRT欠損症の早期診断に重要であると考え報告する.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ