書誌事項
- タイトル別名
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- Birds of Uchigo area, Midori Ward, Sagamihara City (formerly Sagamiko Town), Kanagawa(2010 to 2018)
- カナガワケン サガミハラシ ミドリク ・ ウチゴウ チク ニ セイソク スル ヤチョウ : 2010ネン カラ 2018ネン マデ ノ キロク
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説明
<p>2010年6月から2018年7月までの8年間に渡り、神奈川県相模原市緑区寸沢嵐の内郷地区(旧、津久井郡相模湖町) に出現した鳥類についてラインセンサス法を用いて総合計195回の調査を行い、観察された種、個体数、繁殖の有無について1999年と2010年のデータと比較を行った。結果は以下のように要約される。</p><p>1 2010年 7月から2018年 6月までに77種の鳥類を確認した。1999~2018年までに本調査地域では総合計111種(帰化鳥3種とドバトの合計4種含む、これらを除くと合計107種)が観察されたことになる。</p><p>2 調査地区において観察種数が多かった季節は、4~5月までの夏鳥の渡りの季節(60 種)と冬季のカモ類が増える11月から翌年1月まで(55種)で6~9月までの夏から初秋では40種であった。</p><p>3 月別における個体数が最も多かったのは、9~12月と翌年2月にかけてで、調査1回あたりの平均出現個体数は450羽 から850羽、次いで6月の350 羽であった。この結果は1999年から2000年までの結果まで回復したが、個体数の増加に影響するオシドリやイワツバメの個体数が増加したこと、イカルの個体数が増加したことと関係がある。</p><p>4 調査地域において繁殖を確認したか、あるいは繁殖の可能性のある鳥類は50 種(帰化鳥のガビチョウとドバトを除く)で、前回調査の52種とほぼ一致した。</p><p>5 1999年以来、新たに確認された種はイソヒヨドリとコムクドリの2種であった。ヤブサメ、ツミは観察されず夏や秋の渡りの季節における野鳥の種数も減少した。その一方でミゾゴイ、フクロウ、ヤマセミなどが確認された。</p><p>6 水辺を生息域とするカワウとイソヒヨドリの繁殖は本調査地域では初記録である。</p><p>7 本調査地域は相模川と道志川の合流部にあたり、また高尾山と丹沢山地に囲まれた地理的にも複雑な場所である。今後は、河川と森林が入り混じった当地の野鳥のその動向をさらに重点的に調べるとともに、データの少ない相模原市緑区の野鳥の動向を知る基礎的資料になるよう継続的な調査を心掛ける予定である。</p>
収録刊行物
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- BINOS
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BINOS 25 (0), 17-25, 2018-11-02
日本野鳥の会 神奈川支部