福岡県津屋崎入江におけるカブトガニ繁殖数の減少と累積的湾口改変による産卵基盤である砂州の劣化

  • 板谷 晋嗣
    九州大学大学院工学研究院環境社会部門生態工学研究室 つやざき海辺の自然学校
  • 清野 聡子
    九州大学大学院工学研究院環境社会部門生態工学研究室
  • 和田 年史
    兵庫県立大学自然・環境科学研究所
  • 秀野 真理
    つやざき海辺の自然学校

書誌事項

タイトル別名
  • Rapid decline in the number of breeding pairs of <i>Tachypleus tridentatus</i> and the degradation of sandbanks for spawning due to cumulative bay mouth modifications at Tsuyazaki Cove, Fukuoka, Japan
  • フクオカケン ツヤサキ イリエ ニ オケル カブトガニ ハンショクスウ ノ ゲンショウ ト ルイセキテキ ワンコウ カイヘン ニ ヨル サンラン キバン デ アル サス ノ レッカ

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説明

<p>福岡県津屋崎入江において、カブトガニを対象に航空写真の判読によって、戦後から現在に至るまでの生息地の変遷をたどり、住民からの聞き取り調査結果と繁殖ペアのモニタリング調査結果と照合しながら、カブトガニの減少要因の解明を行った。聞き取り調査では、津屋崎沿岸域には戦後から 1980年代にかけて多くのカブトガニが生息していたが、その数は徐々に減少し 2000年代初めには、ほとんど見られなくなった状況が把握できた。繁殖ペア数は 2005年以降、毎年減少した。この繁殖ペア数の減少は、入江湾口部の累積的改変に伴う産卵基盤の砂州の劣化が一因を担っている可能性が示唆された。本研究の歴史生態学的なアプローチは、カブトガニなどの沿岸域を生息場所とする希少種の保全において、個体数減少と沿岸開発との因果関係をひも解く際の初期解析方法として有効であると考えられる。</p>

収録刊行物

  • 保全生態学研究

    保全生態学研究 24 (2), n/a-, 2019-11-08

    一般社団法人 日本生態学会

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