クローン病との鑑別を要した家族性地中海熱の1例

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抄録

<p>生来健康な40代女性。半年前に腸管スピロヘータ症の既往がある。X年12月、38度を超える高熱と下痢が出現し下部消化管内視鏡(CS)施行したところ、回腸末端から横行結腸にかけ潰瘍が多発し、白血球・CRP著明高値のため緊急入院。重症の感染性腸炎と診断、絶食点滴とタゾバクタム、ピペラシリン(TAZ/PIPC)投与を開始し速やかに改善、退院した。X+1年1月に再度38度の高熱、血便が出現し、2回目の入院。絶食、補液、TAZ/PIPCで症状、血液データともに改善傾向であったが、CSで前回同様の所見が認められ、縦走傾向もあったことから小腸カプセル内視鏡(CE)を追加した。全小腸で一部縦走傾向の潰瘍が多発しており、クローン病を疑う所見であった。絶食、中心静脈栄養管理の後、エレンタールを開始し2月に退院した。同年5月のCSでは著明に改善し上行結腸に小びらんを認めるのみであった。一方で一連のCSでの生検標本の病理学的検討では全ての検体で高度な形質細胞浸潤が無く、好中球主体の炎症を認めていたことからクローン病を含むIBDより自己炎症性疾患を疑う所見であった。そのためMEFV遺伝子の解析を施行したところ、Exson2にp. E148Qのhomozygous変異を認め、家族性地中海熱(MEFV関連腸炎)と診断した。同年12月のCSで増悪傾向がありコルヒチン内服を開始した。内視鏡所見ではクローン病との鑑別が困難であったが、詳細な病理診断と遺伝子検査により確定診断に至った1例であり、文献的考察を加え報告する。</p>

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