腸管への尿酸分泌が腸内細菌叢に及ぼす影響

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抄録

<p>【背景と目的】 近年、高尿酸血症の研究において尿酸はABCG2トランスポーターを介して腸管へ排泄されることが報告されたが、尿酸はヒト体内の主要な抗酸化物質の一つであり、腸管内で抗酸化物質として働いている可能性が示唆されている。腸管で短鎖脂肪酸等の免疫調節物質を産生する細菌の殆どは偏性嫌気性菌であり、これらの細菌は酸化ストレスに対して脆弱で炎症下では減少することが知られているが、抗酸化物質がこれらの菌に対し防護的に働く可能性が考えられる。今回我々は、高尿酸血症による腸内への尿酸排泄量の変化と腸内細菌叢の関連についてマウスモデルで検討した。</p><p>【方法】 8週齢のC57BL/6Jマウスを用い、イノシン5単リン酸(IMP)1000mg/kgおよびオキソン酸カリウム250mg/kgを1日2回腹腔内投与し、高尿酸血症モデル(IMP負荷群)を作成した。尿酸の血中濃度および腸管内への分泌量はHPLCを用いて測定した。IMP負荷を7日連続で行ったマウスから盲腸便を採取し16S rRNAを用いた次世代シークエンサーで腸内細菌叢を評価した。</p><p>【結果】 尿酸の血中濃度はコントロール群と比較し、IMP負荷群では有意に上昇した。また、腸管への尿酸分泌量もIMP負荷群で有意に増加した。IMP負荷によりα多様性およびβ多様性の変化を認めた。</p><p>【結論】 IMPの非経口投与で高尿酸血症モデルを作成し、血中尿酸値の上昇に伴い腸管への尿酸分泌量は増加することが確認された。それに伴い腸内細菌叢が変化することが示された。</p>

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