多発小腸憩室を合併した多発性嚢胞腎の1例

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<p>【緒言】 小腸憩室は比較的稀な疾患で、全消化管憩室に占める割合は2.7%との報告もある。今回、我々は多発小腸憩室を合併した多発性嚢胞腎症例を経験したので報告する。</p><p>【症例】 70歳台、男性。1991年より高血圧で治療され、経過で多発性嚢胞腎と診断。1997年より血液透析が導入された。2018年透析時の血圧低下を認め、心機能検査目的で当院循環器内科紹介。虚血性心疾患、心臓弁膜症、卵円孔開存を認め、同年6月に心臓外科で手術が施行された。術後に血便を認め、腹部CTで小腸出血を認めたため、動脈塞栓術で止血した。カプセル内視鏡では多発十二指腸憩室を認めた。退院後は紹介医で経過観察されていたが、2019年2月黒色便を主訴に紹介医を受診。貧血、血圧低下を認め当院へ救急搬送となった。ICUに入室し、抗血栓療法休止、輸血を行い循環動態は安定した。入院第4病日に施行した小腸内視鏡では、十二指腸、空腸に多発する憩室を認めたが、活動性出血は認めなかった。抗血栓療法再開後も消化管出血は認めず退院となった。</p><p>【考察】 多発性嚢胞腎は、PKD遺伝子変異が原因となる遺伝性疾患で、腎嚢胞の他に、高血圧、肝嚢胞、脳動脈瘤、大腸憩室症などを合併する。小腸憩室の合併に関しては、少数の症例報告が存在するのみであった。</p><p>【結語】 多発小腸憩室を合併した多発性嚢胞腎の稀な1例を経験したため、文献的考察を加え報告する。</p>

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