有明海奥部,塩田川河口域におけるノリ色落ち原因植物プランクトンの出現動態

書誌事項

タイトル別名
  • Population Dynamics of Harmful Phytoplankton Causing Bleaching of Cultured Nori in the Shiota River Estuary in Innermost Ariake Sea, Japan
  • アリアケカイ オウブ,エンデンガワ カコウイキ ニ オケル ノリ イロオチ ゲンイン ショクブツ プランクトン ノ シュツゲン ドウタイ

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抄録

珪藻類のSkeletonema 属およびEucampia zodiacus,渦鞭毛藻類のAkashiwo sanguinea,ラフィド藻類のFibrocapsa japonica は有明海奥部においてノリ漁期にブルームを形成し,ノリの色落ち被害を与える有害な植物プランクトンである.これら植物プランクトンの現場海域における増殖特性を明らかにするため,有明海奥部の塩田川河口域において,2008年4月から2013年3月にかけて植物プランクトンの出現動態と各種環境要因の変動を調査した.珪藻類については,Skeletonema 属は6~9月と1~3月に,E. zodiacus は主に2~3月にブルームを形成した.鞭毛藻類については,渦鞭毛藻類のA. sanguinea は主に9~11月の秋季に,ラフィド藻類のF. japonica は8~9月および11月にブルームを形成した.冬季におけるSkeletonema 属およびE. zodiacus のブルームのきっかけはともに水柱における透過光量の増加であることが示唆された.鉛直循環期であっても,出水や小潮により成層が形成されれば,透過光量が増加することも確認された.A. sanguinea およびF. japonica は競合生物である珪藻類が少ない時にブルームを形成する傾向が確認された.

収録刊行物

  • 沿岸海洋研究

    沿岸海洋研究 55 (2), 139-153, 2018

    日本海洋学会 沿岸海洋研究会

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