岩手県船越半島沖に集積した瓦礫における底生生物の分布

  • 土田 真二
    海洋研究開発機構東日本海洋生態系変動解析プロジェクト チーム
  • 藤原 義弘
    海洋研究開発機構東日本海洋生態系変動解析プロジェクト チーム
  • 高橋 幸愛
    海洋研究開発機構東日本海洋生態系変動解析プロジェクト チーム
  • ソーントン ブレア
    東京大学生産技術研究所
  • 河戸 勝
    海洋研究開発機構東日本海洋生態系変動解析プロジェクト チーム
  • 屋良 由美子
    海洋研究開発機構東日本海洋生態系変動解析プロジェクト チーム
  • 山北 剛久
    海洋研究開発機構東日本海洋生態系変動解析プロジェクト チーム
  • 藤倉 克則
    海洋研究開発機構東日本海洋生態系変動解析プロジェクト チーム
  • 北里 洋
    海洋研究開発機構東日本海洋生態系変動解析プロジェクト チーム

書誌事項

タイトル別名
  • Distribution of Benthic Animals on Marine Debris Found off Funakoshi Peninsula, Iwate
  • イワテケン フナコシ ハントウオキ ニ シュウセキ シタ ガレキ ニ オケル テイセイ セイブツ ノ ブンプ

この論文をさがす

抄録

2013年10月7日,岩手県船越半島沖水深540m 地点において,無人探査機「ハイパードルフィン」による潜航調査を行ったところ,5箇所で集積した瓦礫を発見した.その場所は,発達した海底谷の入り口にあたり,瓦礫は互いに絡まった状態で塊となってパッチ状に分布していた.瓦礫は,缶類,プラスティック類,木片類,漁具類,その他に大別され,そこには,カイメン類,イソギンチャク類,クモヒトデ類,ウミシダ類,ヒトデ類,魚類が付着または近傍に生息していた. 瓦礫種別に付着していた生物の個体数密度は,プラスティック類でもっとも小さく66.5個体m-2,次いで缶類,木片類と漁具類ははるかに大きく240個体m-2前後であった.天然の付着基質となる露頭および岩石は,木片類や漁具類より小さく141.8個体m-2であった.各種瓦礫上に生息した生物の組成比率をみると,いずれもクモヒトデ類が優占し,缶類およびプラスティック類で100%,木片類と漁具類で97%であった.これら瓦礫上で優占していたクモヒトデ類の個体数密度を,瓦礫上と瓦礫から3~5m 地点および10m 地点の泥底と比較した.その結果,それぞれ129.6個体m-2,5.8個体m-2,6.6個体m-2となり,瓦礫上の密度は瓦礫から3~5m および10m 地点の約20倍となった.これらから,瓦礫上の生物密度は,瓦礫から離れた泥底よりも高くなること,木片類や漁具類では,露頭および岩石よりも高い密度になることが明らかになった.

収録刊行物

  • 沿岸海洋研究

    沿岸海洋研究 54 (2), 129-133, 2017

    日本海洋学会 沿岸海洋研究会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ