経時的な病状の悪化をきたした急性好酸球性心筋炎に対して,ステロイドパルス療法が奏功し,心タンポナーデによる血行動態の破綻を回避し得た1例

  • 澤野 晋之介
    自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科
  • 和田 浩
    自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科
  • 伊部 達郎
    自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科
  • 羽鳥 将史
    自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科
  • 玉那覇 雄介
    自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科
  • 坂倉 建一
    自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科
  • 藤田 英雄
    自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科
  • 百村 伸一
    自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of exacerbating acute eosinophilic myocarditis successfully treated with initiation of high-dose corticosteroids and escaped from cardiac tamponade shock

この論文をさがす

説明

<p> 症例は41歳女性.心窩部痛を主訴に救急搬送.心電図で下壁誘導のT波陰転,心エコーで心嚢液貯留,血液検査でトロポニンI 3102 pg/mL,CK 170 U/Lと上昇を認めたが,冠動脈造影では冠動脈の有意狭窄は認めず.急性心筋炎の診断で経過を観察したが,経時的に心嚢液の増加と心筋壁肥厚を示し,第2病日には好酸球は847 /μLと上昇.第3病日に準緊急で心筋生検を施行し右室中隔壁より検体を採取.圧測定では平均右房圧21 mmHgと高値を示し,経時的な心嚢液の増加によるプレタンポナーデと判断し同日からステロイドパルス療法に踏み切った.治療開始後は好酸球数,心嚢液ともに速やかに減少.生検翌日の病理の結果,心筋に好酸球の浸潤を認め急性好酸球性心筋炎の確定診断に至った.ショックを伴う重症例の好酸球性心筋炎へはステロイドパルス療法が考慮されるが,本症例は経時的に病状が増悪した急性好酸球性心筋炎に対して,比較的早期からステロイドパルス療法を導入し,結果心タンポナーデによる血行動態の破綻を回避した1例であり,臨床的重要性が高いと考え報告する.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 51 (1), 57-63, 2019-01-15

    公益財団法人 日本心臓財団

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ