南半球の海面水温に現れる経年から十年規模変動に関する研究

  • 森岡 優志
    海洋研究開発機構 付加価値情報創生部門 アプリケーションラボ

書誌事項

タイトル別名
  • Interannual-decadal sea-surface temperature variability in the southern hemisphere
  • 2019年度日本海洋学会岡田賞受賞記念論文 南半球の海面水温に現れる経年から十年規模変動に関する研究
  • 2019ネンド ニホン カイヨウ ガッカイ オカダショウ ジュショウ キネン ロンブン ミナミハンキュウ ノ カイメン スイオン ニ アラワレル ケイネン カラ ジュウネン キボ ヘンドウ ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

<p>南半球の亜熱帯から中緯度の海面水温に現れる経年変動は,海盆の南西部と北東部に異なる符号の海面水温偏差を伴い,亜熱帯ダイポール現象として知られる。亜熱帯ダイポール現象に伴う正(負)の海面水温偏差は,混合層厚が平年より薄く(厚く)なった結果,日射による混合層の加熱が強まって(弱まって)生じることが本研究で明らかになった。また,混合層厚の偏差は,亜熱帯高気圧の変動に伴う潜熱フラックスの偏差によることが分かった。一方,南大西洋と南部インド洋の海面水温に見られる十年規模変動は,海面気圧の変動とゆっくり東進する傾向にあった。水温偏差は亜表層まで達しており,密度偏差を伴っていた。密度偏差が東向きの南極周極流の影響を受けて準定常ロスビー波として伝播することで,水温偏差が東進することが明らかになった。また,大気海洋結合モデルを用いて,南大西洋と南部インド洋の十年規模変動を十年先まで予測できることが示された。</p>

収録刊行物

  • 海の研究

    海の研究 29 (1), 1-17, 2020-01-15

    日本海洋学会

参考文献 (39)*注記

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