エスノメソドロジーとエンゲキのあいだ

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タイトル別名
  • Ethnomethodology and Forum Theatre
  • エスノメソドロジー ト エンゲキ ノ アイダ
  • A Proposal for Applying Research Outcomes to Research Participants

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抄録

近年、教育現場の質的調査研究において臨床的研究の必要性が注目されつつある。教育実践を対象とする臨床的研究には教育現場に根ざし、問題の解決に資する研究であることが求められているが、そうした文脈で焦点の一つになっているのが、研究対象に対する知見のフィードバックを巡る問題である。本稿では、まずこの問題の背景が、質的調査によって知見として提示される知識が、研究対象コミュニティにおいて産出される日常知がもとになっている一方、知見産出の主体が研究者サイドにあるという、知見産出を巡る構造にあることを指摘した。<br> その上で、その構造がもたらす臨床的研究としての可能性と限界は、質的調査の中でも日常知に照準を合わせた理論的、方法論的立場を採るエスノメソドロジー研究の場合、どのような形で現れるのかについて、筆者の研究経緯を批判的に振り返りながら考察した。<br> 最後に、本稿では、知見産出を巡る上述の構造を乗り越え、研究対象自体が産出主体ともなる可能性を秘めた方法論として、演劇を用いた社会教育実践の方法であるフォーラムシアターをとりあげ、その特徴にはエスノメソドロジー研究の新たな手法として位置づけられる可能性があることを示した。

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