左鎖骨下動脈閉塞を伴ったLeriche症候群に対して血管内治療を施行した1例

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タイトル別名
  • A case of Leriche syndrome with the obstruction of left subclavian artery treated by endovascular therapy

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説明

<p> 症例は64歳男性.1年前からの200 mの歩行で出現する左間欠性跛行を主訴に来院した.足関節上腕血圧比(Ankle Brachial Index;ABI)は右0.53,左0.48と両側で低下しており,下肢MR angiographyで腹部大動脈遠位部より両側外腸骨動脈まで完全閉塞であった.両側浅大腿動脈は有意狭窄を認めずLeriche症候群と診断した.ABIにて両側上腕の血圧左右差が26 mmHgあり左上肢の動脈狭窄も疑われた.治療は上肢の血管内治療(endovascular therapy;EVT)を先行させ,狭窄が疑われた左上肢の血管造影を施行した鎖骨下動脈入口部に閉塞病変を認めステントを留置し上肢の血圧左右差は5 mmHg以下となった.後日下肢のEVTを施行した.左上肢と両側大腿動脈アプローチにてマイクロカテーテルを併用して病変通過に成功し,腹部大動脈遠位部より外腸骨動脈にかけてY字型にステントを留置した.術後,右は症状の改善を認めたが左は跛行が残存した.ドプラにて血流が確認できたため経過観察としたが,症状の改善が乏しくABIも低下していたため造影CTでの評価を施行し左外腸骨動脈に約70 mmの閉塞を認めた.EVTにて多量の血栓を回収しPOBAを行い治療は終了した.術後は症状およびABIは右1.02,左1.03と改善を認めた.Leriche症候群に対して最近では血管内治療の有効性も報告されている.我々は下肢EVTのアプローチサイトの左鎖骨下動脈閉塞を伴ったLeriche症候群の1例を経験し,EVTで治療し得たので報告する.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 51 (2), 168-173, 2019-02-15

    公益財団法人 日本心臓財団

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