国内の飼育霊長類における給餌内容と採食エンリッチメントについて

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タイトル別名
  • Food item and environmental enrichment in captive primates

抄録

<p>日本では、動物園や研究機関において、多種の霊長類が飼育されている。霊長類はその種により、分布域や生息環境がまったく異なるため、餌となる食べ物の種類や量も異なる。しかし飼育下では「サル=バナナ」のイメージが強いためか、すべての霊長類においてバナナなどの果実を中心とした餌が与えられることが多い。給餌回数は1日1から2回と少なく、栽培植物の餌はカロリーが高く、一年中毎日同じ種類の餌が与え続けられる、という問題がある。そこで本研究では、日本で飼育されている霊長類の種類を確認し、それぞれの動物種に与えられている餌を調査した。また近年は、採食エンリッチメントとして、給餌回数を増やしたり、採食品目を増加させたりする試みをおこなう飼育施設もある。そこで、実際に試みられた採食エンリッチメントについて、その方法と結果を調べた。その結果、霊長類はニホンザルなどのマカク属を中心として、キツネザルから大型類人猿まで幅広い動物種が飼育されていた。餌はリンゴやバナナ、サツマイモなどに加えて固形飼料を与えている施設が多く、その品目の決定要因として、購入の手間がないこと、安定して入手できることなどが影響していた。採食エンリッチメントの実施により、毛並みが良くなった、糞便の状態が良くなった、採食時間が延長し活発になった等の効果が得られた。一方で、現場の飼育担当者の努力による部分も大きく、継続性が課題となっていた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390846609814830464
  • NII論文ID
    130007813487
  • DOI
    10.14907/primate.35.0_55_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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