19世紀後半の長崎における降雪日出現率の変動と大気循環場変動との関係

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Variation of snowfall frequency in Nagasaki and their relation with atmospheric circulation changes

抄録

<p>19世紀の古気象観測資料の解析や、古日記天候記録にもとづく気候復元によって、19世紀中頃の1850−60年代に日本付近では冬・夏ともに一時的な温暖期が存在していたことが指摘されている(Zaiki et al.,2006)。しかし、この温暖期の出現と大気循環場変動との関連性は十分理解されていない。本研究では、長崎の古日記である『諫早日記』に記録された1836−1868年の降雪日出現率の変動について解析を行った。さらに、20世紀再解析データV.3(Slivinski et al.,2019)を使用して、降雪日出現率の変動と大気循環場の変動との関連についての解析を行った。長崎における降雪日出現率は1836−1868年の間に減少していることが分かった。降雪日出現率の変動と東アジアの500hPa高度領域平均値の変動には有意な負相関が見られ、500hPa高度は1836−1868年にかけて上昇している。したがって、降雪日出現率の減少は東アジアトラフの弱化と関連していると考えられる。また、冬型気圧配置の強さの指標として中国大陸上と北太平洋上の海面更生気圧(SLP)東西差を計算し、SLP東西差と降雪日出現率変動の関係を調べた。その結果、降雪日出現率の減少はSLP東西差の弱化と対応していることが分かった。これらの結果は、降雪日出現率の減少が冬季東アジアモンスーンの弱化と関連していることを示唆している。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390846609819211776
  • NII論文ID
    130007822119
  • DOI
    10.14866/ajg.2020s.0_143
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ