拘束性換気障害に対する理学療法

  • 秋山 純和
    人間総合科学大学 保健医療学部リハビリテーション学科理学療法学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • 拘束性換気障害に対する理学療法 : 徒手による方法
  • コウソクセイ カンキ ショウガイ ニ タイスル リガク リョウホウ : トシュ ニ ヨル ホウホウ
  • -徒手による方法-

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説明

拘束性換気障害は、解剖学的死腔に変化はないが、胸膜の癒着や胸郭の変化により1回換気量が減少し、これを補償するため呼吸数が増えた状態である。標準肺活量に対してパーセント肺活量が80%前後になると中等度以上の運動強度の日常生活に影響が出始める。健常人の1回換気量を約500 mlとすると死腔分150 mlを引いて350 mlの換気になる。仮に呼吸数を16回とすると分時換気量は5600mlになる。拘束性換気障害で仮に1回換気量が350mlに減少したとすると死腔150mlを引いて200mlの換気になる。分時換気量5600mlを維持するためには毎分28回の呼吸をしなければならない。呼吸数が増えればいわゆる呼吸補助筋がより使用されることになり、効率の悪い状態になる。呼吸補助筋は骨格筋として日常の作業で使用されるので呼吸と作業の両方を担うことになり安静時でもエネギー消費が大きくなり、息切れを起こす悪循環になる。リハビリテーション医療の最終目標は、対象者のADLの改善であり、QOLの向上から社会参加をめざすことであるが、第一義的なアプローチは少しでも1回換気量を増やすことがスタートになる。このため呼吸器に関与する胸郭にある関節に拘縮があれば改善し、関節を動かす呼吸補助筋の使用を可能な限り最小限にする必要がある。本論では、歴史の紹介、呼吸理学療法の定義、理学療法評価、理学療法プログラム、実際の理学療法治療手技として腹式呼吸、下部胸式呼吸法の指導、呼吸介助手技、排痰法、また筋力増強として神経筋促通法(PNF法)について解説した。

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