CRASH試験を紐解き,トラネキサム酸の有用性に迫る

  • 伊藤 隆史
    鹿児島大学大学院医歯学総合研究科システム血栓制御学講座
  • 和中 敬子
    血栓止血研究プロジェクト
  • Roberts Ian
    Clinical Trials Unit, London School of Hygiene and Tropical Medicine, London, UK.

書誌事項

タイトル別名
  • Tranexamic acid reduces trauma-related death: A lesson from CRASH trials

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説明

<p>・重症外傷の超急性期には,血管内皮細胞から組織型プラスミノゲンアクチベータ(tPA)が放出されることで線溶が活性化され,出血が助長されやすい.</p><p>・リシンに類似した構造をもつトラネキサム酸は,リシン結合部位を介したプラスミノゲンのフィブリンへの結合を阻害し,線溶を抑制する.</p><p>・CRASH-2試験において,重大出血を伴う外傷患者の院内死亡は,トラネキサム酸投与によって有意に減少した.特に,受傷後3時間以内に,できる限り早いタイミングでトラネキサム酸を投与することが重要と考えられた.</p><p>・外傷性脳損傷患者の脳損傷関連死を検討したCRASH-3試験においては,受傷後3時間以内のトラネキサム酸投与によって軽症~中等症の患者の脳損傷関連死が減少し,特に,早いタイミングでトラネキサム酸を投与することが予後改善に繋がると考えられた.</p><p>・トラネキサム酸1 gを最初の10分間で静注し,その後,同量を8時間かけて持続静注するプロトコールが用いられている.</p>

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参考文献 (12)*注記

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