新型コロナウイルス感染症流行下での高齢者の生活への示唆: JAGES研究の知見から

  • 木村 美也子
    聖マリアンナ医科大学 予防医学教室
  • 尾島 俊之
    浜松医科大学 健康社会医学講座
  • 近藤 克則
    千葉大学 予防医学センター 社会予防医学研究部門 国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 老年学評価研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Implications for older people’s lifestyle during the coronavirus disease (COVID-19) pandemic: The Japan Gerontological Evaluation Study (JAGES)
  • シンガタ コロナウイルス カンセンショウ リュウコウ カ デ ノ コウレイシャ ノ セイカツ エ ノ シサ : JAGES ケンキュウ ノ チケン カラ

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抄録

<p>背景・目的 新型コロナウイルス感染症がパンデミック(世界的な大流行)となり、外出や人との交流が難しくなっている。こうした状況の長期化は、閉じこもりや社会的孤立の増加につながりうるが、それによる健康への弊害にはどのようなものが予想されるであろうか。本稿では、日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study: JAGES)で蓄積されてきた研究から、高齢者の社会的行動と健康に関する知見を概括し、新型コロナウイルス感染症流行時の高齢者の健康の維持・向上に望ましい生活への示唆を得ることを目的とした。</p><p>方法 JAGESによる研究の中から、高齢者の社会的行動と健康の関連を示した46件の論文(2009年~2020年発表)を抽出し、その知見を概括し、新型コロナウイルス感染症流行時に可能な健康対策について考察した。</p><p>結果 介護、認知症、転倒、うつなどを予防し、高齢者の健康を維持・向上するためには、外出や他者との交流、運動や社会参加が重要であることが示された。それらの機会が制限されることで、要介護、認知症、早期死亡へのリスクが高まり、また要介護状態も重症化することが予測された。</p><p>考察 社会的行動制限は感染リスクを抑えるために必要なことではあるものの、健康を損なうデメリットもあるため、感染リスクを抑えつつ、人との交流、社会参加の機会を設ける必要があると考えられた。密閉、密接、密集を回避しつつ、他者との交流を続けることで、感染リスクと将来の健康リスクが減じ得るだろう。</p>

収録刊行物

  • 日本健康開発雑誌

    日本健康開発雑誌 41 (0), 3-13, 2020-06-19

    一般財団法人 日本健康開発財団

被引用文献 (1)*注記

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