東日本大震災における精神科看護師の体験

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  • Psychiatric Nurses’ Experience from the Great East Japan Earthquake

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抄録

<p>本研究の目的は,東日本大震災における津波被災地域の精神科看護師の体験を明らかにすることである.5施設17名の看護師に半構造化面接を行い,テーマ的ナラティブ分析を行った.病院の被災度により看護師の体験には差異があったが,共通する体験の構造は,《使命感・責任感で患者を守る》《看護の原点に回帰する》《人と人とのつながりで支えあう》《無我夢中の後にくる心身の反応と葛藤》のテーマだった.看護師達は体験を《震災経験が残した看護師自身の心の傷》と《震災経験からプラスの部分を認識し学びに変える》の両面から意味づけを行い《未来への教訓》を導き出していた.東日本大震災において精神科看護師は,資源に限りがあっても看護の工夫で乗り越え,日常を取り戻す配慮をし,何もなくても精神科看護はできるという原点に回帰していた.また,職業や障害を越えた人間同士の支えあいや患者理解の促進がなされた一方で,惨事ストレスによる心の傷も残った.さらに,精神科病院における防災対策への示唆として患者搬送の難しさと,ネットワークの重要性が見出された.</p>

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