新規抗パーキンソン病薬サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ<sup>®</sup>錠50 mg)の薬理作用と臨床成績

書誌事項

タイトル別名
  • Safinamide Mesilate (Equfina<sup>®</sup> TABLETS 50 mg): preclinical and clinical pharmacodynamics, efficacy, and safety
  • 新薬紹介総説 新規抗パーキンソン病薬サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ錠50 mg)の薬理作用と臨床成績
  • シンヤク ショウカイ ソウセツ シンキ コウパーキンソンビョウヤク サフィナミドメシル サンエン(エクフィナジョウ 50 mg)ノ ヤクリ サヨウ ト リンショウ セイセキ

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説明

<p>パーキンソン病は,運動緩慢,無動,振戦などの運動症状を主症状とする神経変性疾患である.中脳黒質のドパミン作動性神経細胞の変性脱落することにより,脳内のドパミンが枯渇し,大脳基底核の運動制御機能が異常になると考えられている.サフィナミドは,選択的で可逆的な新たなモノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害薬であり,ドパミン代謝酵素であるMAO-Bを阻害することで,脳内のドパミン量を増やすと考えられている.さらに本剤は,ナトリウムチャネル阻害作用やグルタミン酸放出抑制作用などの非ドパミン作用を有していることが特徴である.非臨床試験では,ドパミン作動性神経を破壊したラットやカニクイザルにサフィナミドが投与され,進行期のパーキンソン病症状であるウェアリングオフ様症状を改善することが示された.また,カニクイザルを用いた実験では,サフィナミドがレボドパに対する応答時間を延長すると同時に,レボドパ誘発性のジスキネジアを抑制した.これらの結果から,本剤は,MAO-B阻害作用による脳内ドパミン量の増加に加え,非ドパミン作用の影響を介した治療効果が期待できる.臨床試験では,サフィナミドがウェアリングオフを有するパーキンソン病患者のオン時間を延長し,Unified Parkinson’s Disease Rating Scale(UPDRS)Part III(運動機能検査)を改善させることが明らかにされ,パーキンソン病患者の日常生活の活動性を高めることが示された.この結果を受けて,本剤は,ウェアリングオフを有するパーキンソン病に対するレボドパ併用薬として,2019年9月に本邦で承認された.パーキンソン病治療の新たな選択肢として期待される.</p>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 155 (4), 269-276, 2020

    公益社団法人 日本薬理学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (25)*注記

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