糖化の果てに:糖尿病性足壊疽に対する救肢治療

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  • Complication of glycation: Limb salvage treatment for diabetic gangrene

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抄録

<p>閉塞性動脈硬化症(ASO)は,2000年以前では,糖尿病(DM)の合併率は30%程度であった.近年の虚血性足趾壊疽はASOが95%を占めるが,その80%以上はDM,60%以上が透析という患者背景の変化がある.DMのASOは下腿動脈の粥状硬化性多発分節閉塞,末梢神経障害による微小循環障害,動脈石灰化などの重畳により足趾壊疽を発生しやすく,DM足壊疽は今や大切断(足関節より近位での切断)の主因である.DM足壊疽は動脈閉塞症(虚血)がなくとも広範壊疽が発生するが,軽度虚血は感染との相乗効果で感染壊疽が急性増悪・拡大し,不適切な治療では大切断に至りやすい.我々の5年救肢率は94%であり,十分な経験のある施設での治療実績としては極めて良好である.患者の足趾壊疽発症前に自力歩行が可能であった例は,広範組織欠損であっても救肢後の身体機能回復は良好であり,成績に影響する最も重要な因子といえる.</p>

収録刊行物

  • 全人的医療

    全人的医療 18 (1), 14-21, 2020-01-25

    公益財団法人 国際全人医療研究所

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