造血器悪性腫瘍の治療進歩と医療経済2020

  • 鈴木 憲史
    日本赤十字社医療センター 骨髄腫・アミロイドーシスセンター

書誌事項

タイトル別名
  • Progress of MM/CML treatment and medical economics
  • 造血器悪性腫瘍の治療進歩と医療経済2020 : 孫子の代まで日本式皆保険を維持するために : 慢性骨髄性白血病と多発性骨髄腫を例にとって
  • ゾウケツキ アクセイ シュヨウ ノ チリョウ シンポ ト イリョウ ケイザイ 2020 : マゴコ ノ ダイ マデ ニホンシキ カイ ホケン オ イジ スル タメニ : マンセイ コツズイセイ ハッケツビョウ ト タハツセイ コツズイシュ オ レイ ニ トッテ
  • —孫子の代まで日本式皆保険を維持するために:慢性骨髄性白血病と多発性骨髄腫を例にとって—

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抄録

<p>近年,医療を取り巻く社会経済的な環境の変化もあり,日本における医療経済評価の政策応用として薬価加算部分の調整など費用対効果を考慮した医療技術評価の導入が始まった。費用対効果は,安全性,有効性,品質の他に4番目のハードルとなった。一部で治癒の望める血液悪性腫瘍2疾患(CMLとMM)を例にとり,今後の目指すべき方向について論じる。CML治療では,持続可能な医療を実現していくためにも,TKIを用いてCML細胞を早期に減少させ,DMR(MR4.5)を2年間維持し,TFRを目指した治療戦略が重要となる。MM治療は,多剤併用package療法により深い奏効およびMRD(微小残存病変)陰性をサロゲートマーカーとし,更なる生存期間延長ひいては治療終了を可能とし,将来的には治癒を目指す必要がある。日本には国民皆保険制度があり,医療費が高額になった場合でも患者の自己負担額は大きく軽減される。とはいえ軽減された分は誰かが負担しているわけであり,それは元を辿れば我々国民の払う保険料および税金である。医療費が増大を続けるなか国民の負担には限界が近づいている。今後,薬剤費だけでなく,治療選択が及ぼす患者のアウトカムに加え,医療費への影響や限られた医療資源の活用について広い視点で考え,孫子の世代まで視野に入れた持続可能な医療とは何かという議論が必要となる。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 61 (6), 587-597, 2020

    一般社団法人 日本血液学会

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