幕末書物事情と『開版指針』

書誌事項

タイトル別名
  • The Publishing Scene of the Late Edo Period and <i>Kaihan-shishin</i>
  • バクマツショ ブツジジョウ ト 『 カイハン シシン 』

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抄録

<p>本論では『開版指針』(以下、本書)について報告する。本書は天保の改革期以降を中心とした出版関係記録であり、その内容は四〇項目に分類される。現在まで宮武外骨『筆禍史』などに発禁書関連資料として用いられた他、天保の改革を風刺した歌川国芳の浮世絵「源頼光公舘土蜘作妖怪図」解説に引用されているが、多くは天保十三年六月以降幕末まで昌平坂学問所が行なった「学問所改(あらため)」という、幕府が主導した書物の検閲に関わる内容である。本書は、他資料との比較・検討により江戸町奉行を務めた筒井政憲が成立に関与していると推定された。学問所内における改関連記事をはじめ、五経重版事件、江戸とそれ以外の地方での書物の出版・売買に関する記事、写本の売買に関する記事などを総合し、幕臣による出版方針立案資料であることを考察した。</p>

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 64 (6), 11-26, 2015-06-10

    日本文学協会

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