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- 高橋 寛子
- 山梨英和大学
書誌事項
- タイトル別名
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- The Significance of verbalization of the experience in Clinical psychological Education: Overlook of the experience, Universalization and Structuralization in ‘Dipping&Crossing’ of TAE
- シンリ リンショウ キョウイク ニ オケル タイケン ノ ゲンゴカ ト ソノ イギ : TAE ノ'Dipping&Crossing'ニ ヨル フカンカ ・ フヘンカ ・ コウゾウカ
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説明
現代の若者たちは,体験そのものに触れ,自身の内側でそれをどのように感じているのかに注意を向け,考え,言葉にすることに実に不慣れである。触れられない・体験に浸れない・感じられないこの状況は,心理臨床教育にとって危機的とも言えるであろう。本研究では,試みとして精神科病院実習体験の振り返りにGendlin, E. T. らによって開発されたTAE(Thinking At the Edge, 2004)を導入し,大学院生のレポートやインタビューから得られたデータを基に,かれらの体験の深まりとその言語化が,心理臨床力の育成にどのような意義を持つのかについて考察した。その結果,TAE の手続きは,生々しくネガティブな体験に深く留まること(Dipping)や交差(Crossing)を促進させ,そこからその言語化を通して,体験の俯瞰化・概念化・構造化・普遍化を生じさせることが可能であることが明らかとなった。TAE は,身体知(body-knowing,felt-sense)によって概念化を可能にするが,それは心理臨床体験においても継続的に変化・進展し続け,その人本来の生の前進(life-forward)を可能とし,心理臨床家としての主体性を育むのに極めて有益であると考えられる。
収録刊行物
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- 山梨英和大学紀要
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山梨英和大学紀要 16 (0), 1-14, 2017
山梨英和学院 山梨英和大学