P-1-E27 アルコール含有製剤が肝機能に及ぼす影響の検討
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説明
はじめに 当院では現在、重症心身障害者病棟が160床、P-NICUは12床を有している。当該病棟ではけいれん発作治療を目的としてフェノバルビタール製剤を使用しており、当院では散剤であるフェノバール散®、エリキシル剤であるフェノバールエリキシル®を採用している。エリキシル剤は甘味、芳香のある水薬で比較的服用しやすく、経管投与もしやすい。しかしエリキシル剤はエタノールを含有しており、フェノバールエリキシル®のアルコール度数は約6.5%と高値である。本研究では、フェノバールエリキシル®(以下、エリキシル剤)に含まれるアルコールが肝機能に及ぼす影響を調査した。 方法 エリキシル剤を使用中、または使用歴がある患者4名(2歳〜29歳)と、同年代の患者8名(5歳〜29歳)でGOT、GST、γ-GTP値を比較した。 結果 エリキシル剤投与群ではGOT、GST、γ-GTPの平均値がそれぞれ32.5 U/L、25.8 U/L、36.1U/Lであり非投与群では24.1U/L、21.4 U/L、23.6 U/Lと差が見られた。エリキシル剤投与群では全例にγ-GTPの上昇がみられた。またエリキシル剤投与群のうち2名はエリキシル剤投与中のγ-GTPが正常上限値以上であり、そのうち1例は投与中止後γ-GTPが正常範囲に戻っている。エリキシル剤以外の薬剤による肝機能への影響を見るためにエリキシル剤投与群が使用している薬剤のうち肝機能に影響を及ぼす可能性のある薬剤を抽出し、該当薬剤を使用している患者の肝機能を比較検討した結果、有意差は見られなかった。 考察 エリキシル剤は服用、投与しやすさから優れた剤形である。しかし今回の結果よりエリキシル剤投与群では非投与群と比べてGOT、GST、γ-GTPともに高くなる傾向がみられた。したがって、肝機能に問題のある患者や小児等に薬剤を選択する際にはエリキシル剤以外の剤形選択も考慮すべきである。本研究では対象患者の数が少ないため、今後も引き続き検討が必要である。
収録刊行物
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- 日本重症心身障害学会誌
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日本重症心身障害学会誌 41 (2), 255-255, 2016
日本重症心身障害学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390848250134953984
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- NII論文ID
- 130007886051
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- ISSN
- 24337307
- 13431439
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可