O-1-B05 秋津療育園における園生および職員の麻疹・風疹・ムンプス・水痘ウイルス抗体保有状況

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抄録

はじめに 施設長期入所者における感染症に対する獲得免疫の特異性や加齢による免疫機能低下は明らかにされている。しかし、高齢化の進行しつつある重症心身障害児者施設における感染症に対する獲得免疫能の評価は十分なされていない。重症児者施設である当園において、麻疹、風疹、ムンプス、水痘ウイルスに対する抗体価を酵素免疫抗体法(EIA法)で測定し検討したので報告する。 対象と方法 対象は園生174名、対照は当園職員274名である。園生の平均年齢は男48.2歳(n=94)、女50.7歳(n=80)。約4割の園生が在園40年以上である。職員男の平均年齢は44.2歳(n=98)、女45.5歳(n=176)である。園生と職員のウイルスIgG抗体価はEIA法で測定。日本環境感染学会基準に従い抗体保有状況を園生職員間、男女間、および年代間で比較検討した。有意性の検定にはStudentのt検定とPearsonのχ2乗検定を使用した。 結果および考察 麻疹抗体保有率は園生70.1%:職員66.8%、風疹は55.7%:90.5%、ムンプス45.4%:69.0%、水痘90.2%:98.9%であった。麻疹と水痘では園生職員間、男女間において抗体価・抗体保有率に有意の差はなかったが、麻疹では園生職員ともに年齢と抗体保有率は正の相関を示した。風疹では園生職員間の抗体保有率に有意の差を認めた(p<0.001)。2012〜2013年の風疹流行に際して職員に積極的にワクチン接種を実施したことも差の要因と考えられた。一方、ムンプスではそのようなワクチン接種はなかったが園生職員間で有意の差を認めた(p<0.001)。 結論 風疹とムンプスで園生の抗体保有率は職員と比べて有意に低値を示した。未感染での入園、ワクチン接種やブースターの機会が低頻度となったことも要因の一つと考えられる。ワクチン予防可能疾患(VPD)に対する積極的な接種の推進は重要と考えられる。

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