線溶系の血管内外の止血機構における関与―TAFIの役割から考える―

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  • Roles of the fibrinolytic system in vascular hemostasis —Insights from the TAFI’s function

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<p>血栓を溶解する線維素溶解(線溶)系は凝固系と密接また多様に関わり,その制御の破綻は血栓症も出血も起こす.フィブリンによるプラスミノゲン活性化の促進は凝固に伴う線溶促進機構であり,その重要性はトラネキサム酸(TXA)が外傷性凝固障害後の出血を軽減する効果で実証された.TXAが周産期出血や消化管出血にも奏功する事実は,様々な出血における線溶系の役割を再考する契機となりうる.一方,トロンビン活性化線溶阻害因子(thrombin activatable fibrinolysis inhibitor: TAFI)は線溶促進に必須のフィブリンC末端リジンを切除し止血血栓を安定化する.トロンボモジュリン結合トロンビンが活性化することから凝固による線溶阻害機構の主役である.血友病Aの出血にはトロンビン産生とともにTAFIの活性化が不十分なことが関わることも報告された.これら最近の臨床データに着目し,TAFIの分子機構を中心に凝固線溶関連に関して概説し,本特集の序としたい.</p>

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参考文献 (14)*注記

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