梅毒性肝炎を伴った早期梅毒の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of the Early Syphilis with Syphilitic Hepatitis
  • 症例 梅毒性肝炎を伴った早期梅毒の1例
  • ショウレイ バイドクセイ カンエン オ トモナッタ ソウキ バイドク ノ 1レイ

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抄録

<p>45 歳,男性。左第 5 指先端に小潰瘍を形成し,近医皮膚科にて抗菌薬の内服・外用治療を行い小潰瘍は消失した。その約 2 カ月後に全身の瘙痒,発熱,全身倦怠感を主訴に当院消化器内科を受診し,同日入院した。血液検査ではTPHA 定量:132.7 C.O.I,RPR 定量:256 倍,AST:150 U/l,ALT:244 U/l,ALP:3767 U/l,胆道系酵素優位の肝機能異常があった。皮膚症状は,躯幹に痒疹様の結節,四肢に搔破痕が散在し,両下腿には鱗屑を伴う小紅斑が数カ所みられた。掌蹠には明らかな皮疹はなかった。右下腿の乾癬様の紅斑より皮膚生検を行い,HE 染色では真皮の血管周囲や間質にリンパ球,組織球,好中球,少数の形質細胞の浸潤を認め,抗トレポネーマ抗体による免疫組織化学染色は陽性であった。ウイルス性,自己免疫性,薬剤性肝炎は否定的であり,第 2 期梅毒,梅毒性肝炎と診断し,アモキシシリン水和物(サワシリン®)1500 mg/day 投与を開始した。投与数時間後に発熱・皮疹が出現し,Jarisch-Herxheimer 反応と考えた。アセトアミノフェン(カロナール錠®)投与で解熱し,皮疹も軽減し,その後退院した。アモキシシリン水和物内服を継続し皮疹は色素沈着となり,瘙痒も軽快した。第 66 病日には RPR 定量は 32 倍に低下し,アモキシシリン水和物は 8 週間の内服で中止した。梅毒の肝病変は 3 期梅毒に多いことは知られているが,早期梅毒に合併する肝障害の頻度は報告が少なく,文献的考察を加え報告する。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 82 (3), 188-191, 2020-06-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (10)*注記

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