CMOS-MEAを用いた急性脳スライスにおける脳領域間伝播計測
書誌事項
- タイトル別名
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- Propagation measurement between brain regions in acute brain slice using CMOS-MEA
説明
<p>[イントロダクション] 脳疾患や薬の毒性は、脳の構造に依存した領域間の伝播異常によって引き起こされることが多い。中枢神経領域の創薬においては、領域間の伝達改善をターゲットとしている場合もある。領域間伝播を詳細に計測できれば、創薬および毒性評価に有効であるが、高時空間分解能計測が求められる。本研究では、電極間ピッチ11.72μm、1万電極以上を有するCMOS-MEAを用いて、急性脳スライスを用いた領域間伝播計測と薬剤に対する領域間伝播の変化の検出を試みた。</p><p>[方法] マウス(C57BL/6NCr Slc 6週齢♂)から摘出した脳を300μmの厚さにスライスし,CMOS-MEAチップ(Sony Semiconductor Solutions Corporation)上に海馬および大脳皮質部を静置させ、32℃のaCSF灌流下で自発活動計測を行った。4-aminopyridine(4-AP) 10μM, カイニン酸1μMをそれぞれ投与し、薬剤投与による変化を計測した。</p><p>[結果]痙攣陽性化合物投与により、海馬内のDG,CA1,CA2,CA3間の伝播および大脳皮質内の伝播パターンが詳細に計測された。更に、異なる脳部位である海馬と大脳皮質間の活動電位伝播も計測された。これは、高時空間分解能を有し、かつ計測領域が広い特徴を持つCMOS-MEAによって初めて得られた結果である。また、作用機序の異なる4-AP、カイニン酸投与の結果、活動電位の伝播パターンが異なることも明らかとなった。</p><p></p><p> [まとめ] 本研究により、急性脳スライスを用いたCMOS-MEA計測法は、脳領域間の伝播パターンを詳細に検出でき、薬剤の作用を領域間の伝播パターンを指標に検出できる手法であることがわかった。脳領域間の伝播パターンを指標とした新規薬効評価法や毒性評価法への応用が期待される。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 47.1 (0), P-31S-, 2020
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390848647545103360
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- NII論文ID
- 130007898417
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可