医薬品の生殖発生毒性試験法と今後の生殖発生毒性評価
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- 堀本 政夫
- 千葉科学大学危機管理学部動物危機管理学科
書誌事項
- タイトル別名
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- Future perspective of evaluation for developmental and reproductive toxicity of human pharmaceuticals
説明
<p>医薬品開発における生殖発生毒性評価はサリドマイド事件を契機として大きく変わり、催奇形性評価においてラットとウサギの2種を用いることなどが義務付けられた。その後、いわゆる三節生殖発生毒性試験法が制定され、さらに医薬品規制調和国際会議(ICH)により毒性試験法の国際的な調和が飛躍的に進んだ。その結果、生殖発生毒性を評価する試験方法については、いわゆるICHガイドラインである「医薬品の生殖発生毒性試験法ガイドライン」(以下、ICHS5GL (R2))が発出され、その後はこのICHS5GL(R2)に準じた非臨床試験が実施されてきた。それから15年余の歳月を経て、2015年にICHS5GL(R2)を全面改定するためのExpert Working Group (EWG)が結成され、約4年半の改定作業を経て、2020年にICH S5GL(R3)としてStep4に到達した。</p><p>改定されたICHS5GL(R3)においても生殖発生毒性評価の基本部分である、すべての生殖発生過程(6段階:親世代の交配前~児世代の性成熟)に対する影響を評価することなど、現行のガイドラインとは全く変わっていない点も多いが、今回の改定で大きく変更された点もある。従来は生殖発生毒性試験方法の記載が主体であったが、ICHS5GL(R3)はハザードの特定とリスク評価のための試験戦略の考え方などの記載を主目的としている点、開発する医薬品のターゲットとする患者集団や対象疾患などを考慮して毒性評価のための戦略を考えることが可能となった点などである。また、従来の哺乳類を用いたin vivo試験を代替する試験法(以下、代替法)の取扱いも変更された。従来の「丸ごとの動物を用いた試験の代替となる試験系はない」との記載から「一定の条件下で受け入れる」と変更され、代替法の活用に関する記載が追加されたことである。</p><p>この改定作業中の議論などを通して学んだことやICH S5GL(R2)からの変更点から見えてきた課題、今後の生殖発生毒性評価において考慮すべきことや期待されることなどを紹介する。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 47.1 (0), S1-1-, 2020
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390848647545158784
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- NII論文ID
- 130007898486
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可