医薬品の発生毒性リスク評価のためのヒトiPS細胞を用いた<i>in vitro</i>評価系の構築

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タイトル別名
  • A novel <i>in vitro</i> approach for embryo-fetal risk assessment using human iPS cells

抄録

<p> 医薬品開発において、新規候補化合物の発生毒性リスクを評価しメカニズムを理解することは医薬品の安全性を担保するために重要である。現在、非臨床安全性試験においては、主として、マウスやラットなどのげっ歯類及びウサギなどの非げっ歯類を用いた胚・胎児発生毒性試験を通じて発生毒性のリスク評価が実施される。また、近年、発生毒性のスクリーニングや代替法として各動物種の細胞を用いたin vitro評価系が報告されてきている。しかしながら、医薬品のモダリティーが低分子薬やペプチド薬から抗体医薬や核酸医薬、遺伝子治療と多様になる中で、種差を鑑みヒト特異的な発生毒性リスク評価を実施することは重要である。以上のことから、本研究ではヒトiPS細胞を用いて、簡便且つヒト特異的リスクを予測可能なin vitro発生毒性評価系を構築することを試みた。</p><p> ヒトiPS細胞は、Activin A及びWnt3a存在下で培養することで、内胚葉分化マーカーであるSOX17陽性細胞へ分化誘導される。本条件下で、ヒトで発生毒性が認められているthalidomideを添加すると、低用量からSOX17の発現誘導が抑制され、高用量では細胞障害性が認められた。一方で、非発生毒性化合物であるamoxicillin添加では影響はみられなかった。次に、SOX17発現抑制及び細胞障害性を指標として、複数の化合物(発生毒性陽性化合物19種、発生毒性陰性化合物21種)を評価したところ、高い精度(82.5%)で陽性/陰性の判別が可能であった。一方で、マウスES細胞の内胚葉分化においては、thalidomideによるSOX17発現抑制は認められなかった。したがって、本研究で構築したヒトiPS細胞を用いたin vitro評価系は、高精度かつ種特異的に新薬候補化合物の発生毒性リスクを評価できる可能性が示唆された。</p><p> さらに本講演では、現在報告されているin vitro評価系についても概括するとともに、種特異的なリスク評価系の有用性と発生毒性リスク評価構築から創薬ステージにおける活用方法について議論したい。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390848647545161088
  • NII論文ID
    130007898490
  • DOI
    10.14869/toxpt.47.1.0_s1-4
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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