大規模副作用データを利用した機械学習による薬物性肝障害の予測手法の開発

DOI
  • 高田 和季
    名古屋市立大学大学院薬学研究科 医薬品安全性評価学
  • 安部 賀央里
    名古屋市立大学大学院薬学研究科 医薬品安全性評価学
  • 頭金 正博
    名古屋市立大学大学院薬学研究科 医薬品安全性評価学

書誌事項

タイトル別名
  • Development of a prediction method for drug-induced liver injury by machine learning using large-scale adverse drug reaction data

抄録

<p>【背景・目的】薬物性肝障害(Drug-Induced Liver Injury ; DILI)は臨床でしばしば問題となる副作用で特異体質性のものが多い。特異体質性DILIの場合、動物実験で発見することは難しいため、予測手法を開発することは重要である。そこで、本研究では副作用データベースを活用し、医薬品の化学構造情報の観点から機械学習を用いて、DILI予測法を構築することを目的とした。</p><p>【方法】医薬品医療機器総合機構が運用している医薬品副作用データベース(JADER)を用いた。対象副作用は、MedDRA ver22.1の標準検索式の薬剤に関する肝障害とした。シグナル検出法であるProportional Reporting Ratios法と報告件数を用いてDILI陽性・陰性を定義し、該当する医薬品をJADERから抽出した。また、JADERのデータに加えて、DILIの情報を整理したFDAのDrug Induced Liver Injury Rank(DILIrank)を用いてデータセットを作成し、Random Forest(RF)による判別モデルを構築した。</p><p>【結果・考察】JADER のみのデータを利用してDILIの陽性と陰性を同定し(陽性216剤、陰性147剤)、RFによる判別モデルを構築したところ、ROC-AUC は0.7程度であった。そこで、JADERとDILIrankを組み合わせたデータセットから、重複する医薬品や、陽性・陰性の定義が異なる医薬品を除外することでDILIの陽性と陰性を同定し(DILI陽性348剤、DILI陰性375剤)、RFによる判別モデルを構築したところ、ROC-AUC は0.8以上を達成した。以上の結果から、JADERと既存のデータセットを組み合わせて予測モデルを構築することで、高い精度でDILIを予測できる可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390848647545179648
  • NII論文ID
    130007898512
  • DOI
    10.14869/toxpt.47.1.0_p-96s
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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