コム文字貝葉写本の系統樹を作成する方法――<i>Saṃyuttanikāya</i>の<i>Mahāvagga</i>を中心に――

書誌事項

タイトル別名
  • A Method for Creating a Genealogical Tree of Khom Script Manuscripts: A Case Study from the <i>Mahāvagga</i> of the <i>Saṃyuttanikāya</i>
  • A Method for Creating a Genealogical Tree of Khom Script Manuscripts : A Case Study from the Mahavagga of the Samyuttanikaya

この論文をさがす

抄録

<p>パーリ三蔵の各テキストの現存写本は,時には百近くの膨大な数にのぼることもある.各写本は,異なる寺院,場所および時代を通じて継承されている.パーリ三蔵の批判校訂版を作成するために,これらの貝葉写本を収集してデータベースを作成する場合,膨大な時間と人的・物的資源が必要である.したがって,批判校訂版の貝葉写本のデータベースを作成する実用的かつ効率的な方法を求めて,Dhammachai Tipiṭaka Project (DTP)は,各伝承から代表的な5つの貝葉写本を選択するために,それらの貝葉写本の系統樹を作成している.</p><p>パーリ三蔵の写本伝承―シンハラ,ビルマ,モン,コム,タムの伝承―にはそれぞれ独自の様式と特徴がある.そのため,特にコム文字貝葉写本に従って,貝葉写本の背景を考慮して,テキストを選択および比較するさまざまな手段を適用する必要がある.シンハラとビルマの写本の伝統とは異なり,コム文字貝葉写本はいくつかの小さな束(phūk)に分割され,1つの写本に受け継がれる.</p><p>問題は,これらのコーム文字貝葉写本の約80パーセント以上にコロフォン(奥書)がないことである.これにより,筆写された年代,筆記者や寄付者の名前など,コロフォンで通常見られる写本の詳細に関する情報が知られない.したがって,系統樹を準備するための最も重要な情報の1つである各コーム文字貝葉写本の背景を知るのは困難である.</p><p>本論文では,Saṃyuttanikāya Mahāvaggaの校訂のために収集されたコム文字貝葉写本を取り上げ,その中から,代表的な写本を選択する方法を紹介する(DTPでは,8つのコム文字貝葉写本の各本が示す詳細,例えばuddāna(摂頌;目次),選択した段落のテキストの読み,各章の開始点などを比較研究して,5つの代表的な写本が選択される).そのことを通じて,コム文字貝葉写本の系統樹を作成する方法を検討する.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ