カツラ梢端枯れ木の葉の生理的・形態的特性

書誌事項

タイトル別名
  • Physiological and morphological properties in leaves of top-dieback trees of <i>Cercidiphyllum japonicum</i> Makino
  • カツラ ショウ タン カレ コノハ ノ セイリテキ ・ ケイタイテキ トクセイ

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説明

街路樹の梢端枯れ木における生理的・形態的特性を明らかにするため,東京大学柏キャンパス構内のカツラを対象に,健全木と梢端枯れ木における樹冠上部と下部の葉の水分生理特性,光合成・暗呼吸速度,および当年枝シュートの形態を調べた.その結果,梢端枯れ木は調査期間を通じて夜明け前水ポテンシャルが健全木より0.1 MPa程度低く,P-V曲線法で求めた原形質分離を起こす水ポテンシャルも低かった.葉の光合成速度は,展葉後から7月上旬まで健全木と梢端枯れ木の間に差が無かったが,7月下旬以降に梢端枯れ木で低下し始め,特に樹冠上部の葉で低下が著しかった.以上から,梢端枯れ木は健全木に比べ個体全体が慢性的な水ストレス下にあり,樹冠上部では夏季に強光・乾燥ストレスも加わって葉の生理機能が低下することが梢端枯れの要因と考えられた.さらに,梢端枯れ木では健全木に比べて当年枝シュートの葉面積が小さく,樹冠下部のシュート伸長量が著しく大きい特徴を示した.このことから,シュート形態特性は樹冠内の水ストレスを反映して変化し,街路樹の生育阻害要因や樹木医学的診断の指標の一つとなる可能性が考えられた.

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